読子の本棚

読んだ本をここの本棚にしまっておきます。

32冊目:時生 東野圭吾さん

こんばんは、読子です。

ここ最近、「梅雨入りしたのかな…?」みたいな天気になってきましたね。窓の外はお天気ぐずぐず。あっという間に6月です。今月が終われば今年も半分経過か…早いものですね。

 

 

さて今月からは積読消化の始まりですよ(新規で本を捕まえにいけないので)

せっかく時間が山ほどあるのだし、比較的厚めの作品いってみましょ!!

 

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今回は東野圭吾さんの「時生」です。

学生時代、電車の中にも拘らず堪えきれなくて涙ポロポロしながら読んだ記憶があり、いつか再読したいなと思って積読していました。

当時も父の本を借りて読んだのですが、「いつか必ず再読!」の気持ちが強く、気づけば結婚のタイミングで再び父の本棚からパクいえ拝借しておりました。結構長いこと持ち出しちゃっててごめんね父ちゃん。

 

 

目次

・序章

・時生(本編)

・終章

 

上記の三部構成です。

 

 

あらすじ

主人公・宮本拓実の元を、未来から自分の息子が訪ねてくるお話。

拓実は妻・麗子との間に一人の男の子をもうけます。それがタイトルにもなっている彼「時生」。

もともと麗子が遺伝疾患のキャリアであった為、結婚はしても子を持つことは諦めていた二人。しかしある時避妊に失敗してしまったようで、麗子は予期せず妊娠をしてしまいます。そんな事態に陥った時でも拓実は「大丈夫、発症するかしないかは確率の問題だ」と妻を諭し、「もし万が一子供に疾患が見つかっても、二人で乗り越えて行こう」と堕胎はせず、二人で小さな命と向き合うことを決意するのです。

 

このなんとも温かなプロローグが終わったところで拓実の過去編、メインのストーリーに入ります。若かりし頃の拓実の元に、ある日トキオ(過去に現れる時生は一応別人としてカタカナ表記です)は姿を現すのですが、過去の拓実は自分が接してきた父のような立派な人間ではなく…

 

まだまだ未熟な拓実が、息子との関わりを通し人間として大きく成長するお話しです。また、自分のルーツを辿ることで、親子の関係を見つめ直していくストーリーでもあります。

 

 

感想

ここからちょっとネタバレありますご注意を…!

 

 

 

 

プロローグで拓実さんええ男やね…って思ってたら、本編入ってどクズが出てきます。

おいコイツほんま同じ人間か…?

 

他責思考で堪え性が無い、まぁああじでダメなメンズですよこれは。

 

同じ仕事は長くても10ヶ月しか続かない面接はブッチする恋人にお金をせびるすぐに怒るし大事なタイミングで遅刻はするわ嘘つくしギャンブルして恋人からもらった交通費スるわ…

 

七色のとんでもねぇを持ち合わせるフルコンボの地雷男じゃねえか!!!

 

麗子さん…!!!麗子さん、本当にこの人で大丈夫ですか?!!!って心配になってしまいます。

 

が、これは過去の姿。(一応ね)

 

 

ここからの成長が見ものなのです。

とはいえこれ、トキオくんがいなかったらどうしようもないクズのままだったやで…いい息子持って良かったな…

 

自分の親がこんなにも目も当てられないような状態だと、普通は「こんなの見たくない…!」と逃げ出したくなりそうですが、トキオくん…彼は立派ですね。本当に諦めない。自分が生まれるに至るまでの物語を紡ぐために、あれこれと拓実に干渉するんです。本当に呆れ返るような自分の親の姿を見て、それでも自分の親と未来で出会うために試行錯誤するのって、もうそれって…愛じゃん…

 

若かりし頃の拓実にとって、トキオとの出会いは奇跡で、成長で、深い愛でした。

「親から子供に愛情を注ぐ」とはよく言うけれど、「子供から親が愛情を受け取っていることもある」ということに気付かされるお話しでした。

 

東野圭吾さんといえばミステリーですが、これは本当にハートフルなお話し。

「事件に巻き込まれる」みたいな要素はあるけれど、主題は親子の愛情と成長の物語

同じく東野圭吾さんの作品だと、「手紙」だとか「秘密」だとかが割と近い読了感でした。

 

530ページ少々と、どちらかといえば厚みがある部類でしたが、ミステリーのようにグリグリ頭を使ってページを遡って考えて…とかしないので割とさっくり読めます。

 

 

二回読んでちゃんと二回泣きました。厚みがあるので後回しにしがちでしたが、再読してよかった作品です。お父さん、いい加減返却しますね…(遠い目)

 

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親子の絆や愛情に触れたい方は一読の価値ありだと思います!温かな涙を流したい方は是非!