61冊目:宝の山 水生大海さん《第3回 屋根裏の内緒話》
こんばんは、読子です。
天気予報で桜前線の話題が登場するようになってきましたね。春はもうすぐそこ。お花見が待ち遠しいです!!
さて今回は
「第3回 屋根裏の内緒話〜!!」
この読書会記録は、「郵便局のおじさんは9時40分ごろやってくる」のニードルさんとの読書会に関する記事です。
今回の選書はニードルさん!
「宝の山」水生大海さん
薄暗い桜の森に、ショッキングピンクの花が舞い散る妖しいデザインの表紙です。さてはこの本、「金銀財宝!」みたいなタイプからは程遠い感じなんでしょうね。
目次
- 序章
- 第一章 いっぺん村八分にしたら、反省もするわ
- 第二章 そうね、誤認させるのよ
- 第三章 わかったつもりでジャッジするなよな
- 第四章 村の一員だから、余計なことは言うなと
- 第五章 真実を知らないと、力のある人にいいようにされてしまう
- 第六章 父がいなくなった日と同じだ
- 第七章 餌を投げたんだ。釣り針のついた餌をね
- 第八章 自分の罪を自覚した方がいいだろう
- 終章
不穏すぎるセクションタイトルに、読む前からゾワり。これは絶対穏やかな話じゃないぞ!
あらすじ
宝幢温泉を抱える宝幢村は、その温泉を中心に一時期は観光地としての賑わいを見せていました。しかし大きな地震により、村の宝とも言える宝幢温泉は埋まってしまい、再度掘り返すことも出来ませんでした。衰退の一途を辿る宝幢村は村おこしの為に、桜の森を作る事を考えます。外部からPRをしてくれる人材も雇い村おこしに注力をするのですが、そんな側からPR大使の女性が失踪してしまい…
感想
ニードルさんの選書、毎回センスエグいんですよね…閉鎖的な村のヤバい話かと思ったら、途中からガッツリミステリーに。かなり好きな展開でした。
しかしまあ…閉鎖的な村って怖いですよね。実際私の祖父母の田舎は、我々が遊びに行くとヒソヒソしてくる系だったりします(「〇〇さんとこの孫が帰って来てる」系の噂)。本書のストーリーでもバチバチに相互監視をしていたので、いや限界田舎コワ…とか思ってたんですけど、まさか途中からミステリーエンジンが全開でかかるとは!!!(ドゥルンドゥルン
その一方で、新規移住者を余所者扱いしたり、村八分にしたり、村の利益の為に暗黙の了解で秘密を守ったり、「誰々さんのところに嫁ぐのは名誉」みたいな感性だったり…と、そういったいわゆる村社会的なムードは最後まで維持しており、突然別のジャンルにすり替わった感じはしませんでした。
ところで、主人公・希子ちゃんの伯母の
- 村の権力者の親族と結婚できるのはありがたいこと
- お前がいつまでも体を許さないから
- 縁談が流れそうならその男の子供を妊娠してしまえ
- 男の浮気には目を瞑るものだ
などの発言が酷すぎて、こんなの放り出して早く村を出ればいいのに!って思ったのは内緒。他にも移住者の家を覗いたり、荷物の中身を気にして他所の宅配物の代理受け取りをしたがったり(宅配ボックス置かれたらブチギレ)、噂ばなし大好きだったり、本当に監視力高めで嫌な村人の見本みたいでした。これが親戚なの恥ずかしすぎて、希子ちゃんには同情…あまりにも常識はずれで、ハラスメントのオンパレードやないかい。
そんな伯母さんに対しても強く反発しない主人公の希子ちゃん。きっと希子ちゃんも長い時間をかけて村民としての処世術というか、そういう生き方を叩き込まれたんでしょうね(洗脳的に)。後に希子ちゃんは少しずつ目を覚ますので、その辺りはにホッとしました…
ミステリーでありつつ、閉鎖的な村で育った希子ちゃんの成長ストーリーでもあって読み応えのある作品でした!不穏な村でのお話が読みたい方におすすめです◎本作で初めて水生さんの作品に触れましたが、他の作品も読んでみたくなりました。
ニードルさん、今回もナイス選書でした!ありがとうございます!!