こんばんは、読子です。
前回に続き、今回も読書会の記事です。
第3回
本の虫たちの読書会〜!!!!
こちらは
- 「本好きの秘密基地」のはむちゃん様
- 「郵便局のおじさんは9時40分ごろやってくる」のニードル様
のお二人と、3人での読書会です。
今回の選書ははむちゃんさん!!
「血も涙もある」山田詠美さん
学生時代に課題読書の「僕は勉強ができない」で一度だけ手に取ったことのある作家さんです。あまりよく覚えてはいないのですが、結構真理っぽいことが書いてあり高校生ながらに「オッフ…」となった記憶があるような無いような。
今回の読書会は、そんな山田詠美さん作品との邂逅チャンスとなりました。
目次
Chapter1 lover
Chapter2 wife
Chapter3 husband
Chapter4 lover
Chapter5 wife
Chapter6 husband
Chapter7 lover
Chapter8 wife
Chapter9 husband
Chapter10 people around the people
あらすじ
「私の趣味は人の夫を寝盗ることです」から始まる不倫群像劇。寝盗りが趣味な桃子、料理研究家の沢口喜久江先生、そして沢口先生の夫・太郎(キタロー)。男女の間柄や不倫に対する価値観が、三者の視点で順繰りに描かれます。
感想
揃いも揃って碌でもねえな!
でもみんな揃って人間臭いな、と思いました。
「何を悪として、何を善として…」と、一つの価値観をベースに描かれている訳ではないので、読み手の立場によって誰に感情移入するかが変わると思います。…し、どの立場で読むかによって作品を読んだ感想も随分変わってくるんじゃないかと思います。
既婚子持ちになってくると恋愛方面の価値観は随分凝り固まってくるので、「罪悪感なく他人の夫に手を出す」という桃子の感覚にドン引きしてしまうような頭になっていることに気がつきました。(フィクションなんだからもっとソフトな思考で読もうな読子)
世の中には「不倫であっても純愛だ」という価値観もありますので、あくまで私の価値観ですが、これっぽっちも悪びれる様子なく職場の先輩の夫を寝盗るのはちょっと…
桃子のように
考えてみると、妻、可哀想。私のために、夫を下ごしらえして差し出し、散々調理され、あらかた食い尽くされた残りを受け取るのだ。
みたいな考え方に暴露するとストレスで胃がひっくり返りそうになります。それだけでもメンタルに強く来るのに、妻帯者でありながら
桃子を愛でている間、喜久江の残像は、よっこらしょっと衝立の陰に移動させておく。そうさ、俺は稀代のちゃっかり屋さんさ!と大した罪の意識もなく開き直ってるのです。ひでえ。でもよその女にうつつを抜かしている既婚者の男って、こんなもんじゃないですか。あっ、ちょ、ちょっと、今だけは目をつぶってちょうだいよっ、後、少しなんだから、と。
などと、法に触れる事をしているにも拘らず、全く緊張感のない夫にも心底げんなりしました。
それぞれが「自分の倫理観に則り、マイルールの中で不倫をしている」テイですが、各々が自分に酔い過ぎてて登場人物全員気持ち悪かったです。(暴言)
起きている事実だけを掬うとドロドロストーリーですが、山田詠美さんの描くキャラクターの語り口のせいか、内容の割に不思議と軽快な印象でした。
これだけの内容をこんなに軽く書ける山田詠美さん、すごいです。
でも一個だけ言わせてくれ。
不倫する奴は普通に血も涙もないと思う!!!!
学生時代ぶりの山田詠美さん。久しぶりの挑戦でとても嫌な気持ちになれました!(歓喜)(謎の爽快感)
やっぱり嫌な気持ちになるのって気持ちいい(?)!でも現実世界ではご勘弁なので、本の世界だけにしてくださいね。
はむちゃんさん、素敵な選書ありがとうございました!