読子の本棚

読んだ本をここの本棚にしまっておきます。

30冊目:火のないところに煙は 芦沢央さん《第1回 本の虫たちの読書会》

こんばんは、読子です。

 

今回は「郵便局のおじさんは9時40分ごろやってくる」のニードルさんと、「本好きの秘密基地」のはむちゃんさんとの共通読書本です。プチ読書会ってやつですね!

選書はニードルさんにしていただきました!

 

選ばれたのは

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芦沢央さんの「火のないところに煙は」です。

表紙から不穏…!

 

 

 

本当はもっと早くに読了したかったのですが、前期破水を伴う切迫早産ということで急遽入院に…

お薬の副作用によって寝ているだけなのに心臓はドキドキと常にマラソン状態で、手の震えも止まらずしばらく本が読み進められませんでした…

お時間があきましたが、本日ようやく読了です。

 

 

目次

・第一話 染み

・第二話 お祓いを頼む女

・第三話 妄言

・第四話 助けてって言ったのに

・第五話 誰かの怪異

・最終話 禁忌

 

 

各話あらすじ

共通のあらすじ

編集者である《私》が、縁あって怪談の短編小説を書くことになるお話。

一つ目の怪談「染み」をきっかけに、何故かその後も立て続けに《私》の元に怪談話が転がり込みます。《私》以外にオカルトライターの「榊桔平」という男が全話通して登場し、彼の存在により怪談が掘り下げられていきます。

第一話 染み

広告代理店で働く女性が染みに悩まされるお話。

彼女の名前は角田尚子。ある占い師のセッションを受けてから彼との関係が拗れてしまいます。別れを切り出す尚子に、彼はあの手この手で粘着。しかしある晩、彼との別れは突然に訪れます。車の運転中に事故を起こして死亡してしまうのです。

その日を境に、尚子の仕上げた広告には悉く不自然な染みが滲むようになり…

第二話 お祓いを頼む女

「あなたの記事のファンになりました!有能なお祓い師さんを紹介してください。」

ライター・君子の元に、怪しげな女が訪ねてくるお話です。彼女は自分が祟りにあっていると強く信じており、その祟りが家族にも伝播し始めていると執拗に訴えます。初めは「何故ライターの私にそのような依頼を?」と、まともに取り合おうとしなかった君子ですが、徐々に話の違和感に気づき…

やがて息子にも降りかかり始める厄災。取り返しのつかないことが起きる前に、早く有能な祓い屋を紹介して…!

第三話 妄言

「あなたの夫、浮気してるわよ!確実に見たもの…!」近隣住民に有る事無い事言われる話。

崇史は最近中古の戸建てを購入しました。理想の家、妻の妊娠、面倒見の良い近所のマダム、と順風満帆だったはずなのですが、ある日を境に幸せな生活の崩壊が始まります。今まで面倒見の良かったマダムが、妻に自分の浮気を吹き込んでいるのです。もちろん事実無根ではありますが、マダムの言うところには「火のないところに煙は

第四話 助けてって言ったのに

その夢に現れる女は、何かを訴えながら接近してくる。

義母と同居する智世さんは、義実家で暮らし始めてから繰り返し同じ夢をみるようになります。それは「家が燃えている夢」。夢について夫と義母に伝えると、義母もまた同じ夢を見ていたと顔を青ざめさせます。義母によると夢は少しずつ進行していき、やがて夢の中で女性に何かを訴えかけられるようになるのだと言います。何故この家に住む女性だけがこのような夢をみるのでしょうか?それは…

第五話 誰かの怪異

格安物件で起きる怪奇現象を、素人が祓おうとする話。

岩永幹男は大学進学とともに一人暮らしを始めました。洗濯機置き場は外ではありますが、家賃もお安くなかなか悪くはない条件。良い物件に出会い新生活に心を躍らせますがそんな日々も長くは続かず、ある時から岩永は怪奇現象に見舞われるようになります。排水溝に溜まる長い髪の毛、突然幼児番組に切り替わるテレビ、鏡越しの背後に立つ女。初めは気にしないように努めていましたが、やはり何かがおかしい…。

ある日岩永は大学の同級生を部屋に泊めることをきっかけに、信じては貰えないだろうと思いつつもこの話を打ち明けます。ところが彼の反応は思いもよらぬもので、知り合いの“そういうのに詳しいヤツ”を紹介するという話に発展。その人物の登場により、果たして怪奇現象はおさまるのでしょうか…

最終話 禁忌

“縁”が紡ぐもの、それは良いものだけとは限らない。

全ての物事は縁で円く繋がっています。繋がってしまうのです。

 

感想

怪談としての奇妙さはありながらも、全ての話において人間側の思惑なんらかの意思を感じるところがあって、怪異も怖いけれど人間も怖いというのが正直な感想でした。また、全くバラバラだったお話たちが最後に数珠繋ぎのように一連のつながりを見せる展開はとても気持ちよかったです!さいこー!

 

そして一人称が《私》なものですから、主人公=芦沢さんで「これが全て事実だ」というように脳が読み取ってしまいなんだかリアルで気味が悪かったデス…フィクション!フィクションだから!!

 

芦沢さん、初めて読みましたがとても面白かったです!ビビリな私ですが、ホラーの程度としても本作はちょうど良かったなと感じます。ホラーへの苦手意識も少し払拭されました。もう少し怖いの読んでみようかな、と思ってしまうくらい!!

ニードルさんには素敵な本に出会わせていただき感謝です…!

 

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それではまた次回!