9冊目:ナラタージュ 島本理生さん ③映画鑑賞編
こんばんは、読子です。
小説版に続き、映画版のナラタージュも観ました。ということで…初の③映画鑑賞編を書いてみることにしました!
【ざっとあらすじ】
主人公の女子大生・泉ちゃんは、高校教員である葉山先生に恋をしています。卒後も演劇部の部活動を通して葉山先生との交流は続くのですが、教員と元教子という立場上そううまくいく恋愛ではなく…
同年代男子・小野くんからの泉ちゃんに向けた恋心も絡まり、一層しっとりややこしい恋が展開されていくのです。
【キャスト】
ヒロインの泉ちゃん:有村架純さん
高校教員の葉山先生:松本潤さん
同年代演劇仲間の小野君:坂口健太郎さん
にやにやしながら通過するいじめっ子:伊藤沙莉ちゃん
☟以降から感想に入ります。ナラタージュ②で大体の感想を残しておりますのであまり本編に触れるつもりはありませんが、話の流れでポロっと本筋に触れてしまう可能性がございます。今回も未履修の方はご注意を…!
【感想】
映画版だと小説版ラストのシーンから入るんですね…!!!
ナラタージュ:映画の技法の一つ。主人公または語り手に回想形式で過去の出来事を再現させる手法。
ということですので、現在の時間軸で起きていることはある程度先に見せておき、過去のことはぶつ切りにせず一気に主人公に語らせます。
原作でも現在の時間軸のお話は最初と最後にだけ入るサンドイッチ型なので、あまり時系列が行き来しない構造は同じですね。
少しだけ内容に触れます。
映画版では原作に無い“小野くんが靴づくりをしている設定”が付加されていました。自らが作った靴を主人公にプレゼント。なんだか微笑ましいですね。ふふふ…
ん…?
あれ?そういえば靴のプレゼントって…
と思い映画を止めて調べてみると
「別れ、(この靴を履いて)遠くへ行って、踏みつけ、見下し」
…と、なにこれ不穏な意味のオンパレード!悲しみの欲張りセットや〜!?!???(混乱)
靴履いてこんなに幸せそうにしている映像が流れるのに、「将来的に小野くんと主人公がうまくいくビジョンが全然見えないんだけど?!」と心がザワつきまくりました。こんなのってないよ!
交際開始前からちゃんと不穏なのを匂わせてて、「うわぁ、いい演出」と思ってしまいました。
役者さんのお話も少しだけ。
実は読子…伊藤沙莉ちゃんが好きなのですが、本作に沙莉ちゃんが出ていることを知らなかったので、彼女の登場が個人的にとても嬉しかったです。
ちなみに今回の役はほぼセリフ無しでした。(お顔が映るのもたぶん1秒2秒かそこいら)
ニヤニヤしながら主人公の横を通り抜けるいじめっ子という配役で、何も喋らないのに陰湿な感じがバンバン出ていてすごかったです!(賞賛なのに褒めてるように聞こえない)さすが女王の教室仕込みです
ジャニーズオーラを消してもっさりした先生を演じる松潤さんもすごいなあと感じました。アイドルオーラってオンオフできるんだ…
最後に総合的な感想です。
全編通して、画的美しさにより高湿な感じはきちんと維持されていると感じました。
ストーリーの進行は殆ど原作に則って作られているので、原作履修済みの方がご覧になって「思ってたのと違うんだけど?!」とショックを受ける事件も起きにくそうな印象でした。まだ未読・未視聴の方はどちらを先にご覧になっても大丈夫だと思いますよ!
繊細な文章から島本理生さんの世界を味わい尽くすなら原作を。
演者/演出家さんはじめ、映像/美術スタッフさんなど原作以上に多くの人の手により厚みを増した作品を楽しみたいのであれば映画をおすすめしたいです。
どちらも良い作品でした!
次は本に戻ります。もう少しコミカルな感じの作品に手を出す予定です!