こんばんは、読子です。
今夜は島本理生さんの「生まれる森」という作品についてお話しをします。
「夜はおしまい」を読んでから順調に沼っております…底なし!!
そして、今回からは記事に大きい項目をつけることにしました(と言っても現状「あらすじ」と「感想」だけです)。今までは思うがままに書いていたので、しっちゃかめっちゃかでしたしね。エヘッ
フォーマットは今後も必要に応じていじるかもしれません。
それでは本題に入ります↓
あらすじ
受験期に出会った塾講・サイトウさんの物悲しい寂しさに絡め取られ、主人公の女の子が《寂しさの森》に囚われてしまうお話です。失恋した主人公が、友人のキクちゃん及びその家族との交流を通して再び立ち上がっていく姿を見守るストーリー。比較的薄めでサラッと読めるページ数でしたが、内容は濃厚でした!
感想
・主人公が恋した塾講サイトウさん(離婚経験あり)
・先生の孤独に寄り添いたいと願う女子学生
・主人公を気にかけ好意を寄せる男性(友人の兄)
というメイン役者達の境遇に、正直「葉山先生?泉ちゃん?!小野くんに似てる人ーーーー?!!これ何てナラタージュ?」の気持ちで読み始めました。
…が。読了した今は、ナラタージュとは随分と違うお話だったなと感じています。
「ナラタージュ」の葉山先生は最後まで絶妙距離感で主人公の側にいましたが、本作のサイトウさんは『恋心ではなかったんだ』と、主人公にはっきりと終わりを告げています。
それぞれの人間模様の印象ですが、
「ナラタージュ」の二人はお互いを恋しいと思い続け、細く長く限界まで繋がっていた感じ。
対して「生まれる森」の二人は、二人揃って同じ気持ちでその関係に縋るような印象はありませんでした。
二人の関係に明確な終止符を打った上で、主人公一人が《寂しさの森》から抜け出せなくなっている状態です(実はサイトウさんの方も、未だ一人で森を彷徨っているかもしまれせんが…)。
第一印象ではナラタージュ登場人物たちと似た境遇のように感じましたが、関係性の面で見ると全く別物ですね。
また、双方とも終わりゆく恋の物語でありながらも
・ナラタージュ:二人がきちんとお別れできるまでの過程を見守るストーリー
・生まれる森:失恋の痛みを手放していく個人の過程を見守るストーリー
…と切り取られているタイミングや角度全然違うので、本当に別の物語でした。先生失礼いたしました…
ちなみに私はイヤミス好きの割に前向きエンドも好きなので(ゑ?)、ナラタージュよりも本作の終わり方の方が個人的に刺さりました。胸がギュッとしたまま終わらず、「二人の明日は今日よりもきっと明るい」と思える終わり方で清々しい読了感でした。最後の方は、頑張れ主人公!森の出口みえてきてるよ!などと思いながら読みました(熱血)
はー、素敵な本だった!
次は重めの乙一さんです(黒い方!)