読子の本棚

読んだ本をここの本棚にしまっておきます。

10冊目:モモンガの件はおまかせを 似鳥鶏さん②

こんばんは、読子です。

 

「モモンガの件はおまかせを」無事読了いたしました。シリーズものの本作は、今回も動物さんの可愛さ・動物さんの豆知識が盛りだくさんでした。

 

 

それでは作品紹介と感想に入ります。

本作は「楓ヶ丘動物園飼育員ミステリーシリーズ」の4作目です。

 

第一話 いつもと違うお散歩コース

第二話 密室のニャー

第三話 証人ただいま滑空中

第四話 愛玩怪物

本作は上記の全4話に分かれております。各話で起きる事件は個々として独立していますが、最終的にはきちんと繋がり一本になります。

 

 

第一話 いつもと違うお散歩コース

お散歩をする1匹の柴犬の表情から事件が発覚します。一発目から普通に一大事です。

犬を連れていることによって得られる効果と、犯罪における心理学を学びます。

爬虫類担当飼育員・服部くんの愛犬「ディオゲネス(何故哲学者の名前…?)」は今回も活躍。ギリシャ語で調教されている賢いわんちゃんです。

 

第二話 密室のニャー

「飼い猫が盗まれた!」ペットの誘拐をベースに、愛玩動物さんの置かれる境遇が明かされます。

「かわいい!」という一時の衝動に乗せられて買う購入サイド、「手もかかりませんし、可愛いですよ!抱っこしますか?」とリスクや負担の部分は十分に説明せずに、無責任な販売文句を並べ購買意欲を煽る販売サイドの両方からペットの飼育について言及。また、希少な種類のペットを効率よく産ませるために、倫理的ではない繁殖のさせ方をするブリーダーさんの存在も明かされています。

環境や体調の管理の行き届かない悪質な販売店なども存在していると、衝撃の事実まで突きつけられます。「ペットブーム」だなんて言葉もありますし、愛玩動物には流行り廃りまであります。無責任に流行を作り出すメディアもまた、良くはないなと感じるところでした。

 

第三話 証人ただいま滑空中

モモンガが飛んできて教えてくれたのは、一人の男の死でした。

家主の男性が死亡して2ヶ月も経過していよう部屋で、なぜかつい最近まで世話をされていたような形跡のあるモモンガのケージ。犯人は遺体のある部屋に通ってモモンガの面倒をみていたのか…?

モモンガの「モモモ氏」を通して、「飼い主としてひとつの命を取り扱う責任」について考える回でした。

 

第四話 愛玩怪物

「森ででっかい化け物に襲われた!」という証言をもとに、楓ヶ丘の獣医・鴇先生と主人公の桃くんが謎を解き明かして行くストーリーです。

・小松菜の先端だけをちょいちょいっと食べて行く

・四つ足で歩行

・樹皮を剥いだ形跡

・のっしのっし、と重量感のある足音

・とても大きいが、木の枝の上を移動する

・家の庭に繋いでいた犬が連れ去られた(小型犬ではありません)

↑近隣住民の皆様からのヒントはこちら。みなさんはどんな動物が思いつくでしょうか。

 

化け物探しの集結から、やはり今回も読者への問題提起があります。

「第二話 密室のニャー」にて言及された【倫理的でない繁殖のさせ方をするブリーダー】・【適切な管理がなされていなかったり、無責任に動物を販売する悪質なペットショップ】に続き、「第三話 証人ただいま滑空中」で問題提起された【命を扱う自覚なくペットを気軽に飼い・手放す飼い主】が並び、さらに今回の「第四話 愛玩怪物」で登場する【引取り業者(飼えなくなった動物を高額で引き取る)】に(良くない)バトンパスが行われていきます。

 

【倫理の外のブリーダー】【管理激甘ペットショップ】【命お気軽飼い主】【引き取るだけ引取り屋】

 

上記の部分で需要と供給の関係が出来上がってしまい、こんな悲しい流れが当たり前のように横行している界隈があるようなのです。

業者に関しては摘発されなければどうしようもありませんが、未来の飼い主さんがきちんと命と向き合うことである程度は流れを断つことができます。

これからペットをお迎えする予定のある方には是非「目の前のぬいぐるみのようなわんちゃん・猫ちゃんは生身の動物なんだ」ということを考えてからお迎えをしていただきたいところですね。

 

お金もかかれば手間もかかるし、旅行もそうそう行けませんけれど、動物さんのいる生活って本当に尊いですからね。私も以前一生に暮らしていた動物さんからはたくさんの思い出を貰いました。

ショーウィンドウの向こうの彼らは、これから一緒に思い出を作り素敵な関係を築き上げていく相手です。動物さんをお迎えする時には、勢いで購入したりせず「どんなことがあっても最後まで一緒に居られるか」を考えてから購入できる方が増えるといいですね。

 

 

あれ?これ本の記録だよね…???

コミカルなお話の中でも教訓があり、ついあれこれ考えてしまいました…!

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それでは今回はこれでおしまいです。

次回はエッセイ本(?)です。軽めの本で肩の力を抜きますよ〜!