読子の本棚

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7冊目:あなたの不幸は蜜の味 イヤミス傑作選②(3)

こんばんは、読子です。

こちらは「あなたの不幸は蜜の味 イヤミス傑作選」イヤミスアンソロジーの②感想編(3)です。

今回で本作に関する記事は終了となります。

 

 

収録作品は以下の六編です。

 

  1. 石蕗南地区の放火(辻村深月さん)
  2. 贅肉(小池真理子さん)
  3. エトワール(沼田まほかるさん)
  4. 実家(新津きよみさん)
  5. 祝辞(乃南アサさん)
  6. おたすけぶち(宮部みゆきさん)

 

②感想編(3)では太字の5.祝辞6.おたすけぶちについて触れさせていただきます。

 

それでは本編に入ります。

 

5.祝辞(乃南アサさん)

結婚式の祝辞で、女友達が花嫁の男グセの悪さやらをスピーチしちゃうお話。

実際にこんな事にはならずとも、こんな事になり得る人間関係ってゼロじゃ無いのかもなあなんて思ったりしました。

 

スピーチを頼まれた子の気持ちも考えると、スピーチで花嫁のことをボロクソ言うのは絶対に気持ちがよかったことでしょう。復讐のパターンとしては、最高難易度にして最大の攻撃力だったのではないですか?

 

常識的にあり得ない行動ですし、そもそもスピーチを頼まれるくらいのポジションになるまで嫌いな人間とずっと仲良くしてないといけないと考えると全然割に合わないと思いますけど(笑)

 

でも「あっ、ちょっと!まだ話させてよ!痛いってば!あんたたちなんて大嫌い!!!」って騒ぎながら会場スタッフに連れ去られていくのは普通に面白過ぎました。いいぞ、もっとやれ

 

なんにせよここまでフラストレーション溜めるくらいなら、さっさと花嫁との縁切っとくのが正解だったんだよなあ。

 

あと、これを読んでいて

婚約相手をとられた復讐に、結婚式に白のドレスで乗り込む女の子のお話(阪急電車/有川浩さん)

を思い出しました。

現実ではできないような復讐だからこそ、小説の中でやってもらえるとスカッとするんですよね。

 

感情の移入先を変えるとイヤになりきれなくて、これもまた楽しいなあと思いました。

 

 

 

6.おたすけぶち(宮部みゆきさん)

おたすけぶちって助けてくれるブチ(猫)じゃ無いの?!!!

一瞬たりとも猫が出ませんでした。

 

おたすけ淵と呼ばれる場所で事故死した兄をめぐるお話です。

おたすけ淵の由来に関しては「ここから落ちたらもう神に祈るしか無いからね。『おたすけ〜』ってな。」と地元のおまわりさん。過去にも事故が多発しており、主人公も淵の周りをカーブする時に隣をトラックが通過して手に汗を握るほどもの。

はいはいなるほど、そりゃ確かにおたすけ淵ね。

と思ってしまいますが、最後の最後で「おたすけ淵」の真の由来が明かされます。

 

ホラー作品ではありませんが、何となく全体的に気味が悪いというか、おたすけ淵に関わる村の存在がどんよりとした怪しげな印象でした。

お兄ちゃん、ほんまにそれでええんか…と、主人公と共に私も結末に納得できていません。モヤルゥ

 

さてこれで本作についての記事はおしまいです!長らくお付き合いいただきありがとうございました!