読子の本棚

読んだ本をここの本棚にしまっておきます。

22冊目:お引越し 真梨幸子さん

こんばんは、読子です。

 

前回読子「遅読なので次はクリスマス後です〜!」→???

 

遅読読子も好きな作家さんの作品だと比較的早いようです…これ記事の最後にもう一回「良いクリスマスを〜」とか書いちゃう恥ずかしいやつだ。

 

 

今回は真梨幸子さんの「お引越し」という本に関する記事です。恥ずかしい気持ちはそっとしまってご紹介をはじめます。

 

 

 

真梨幸子さん

ここ数年ずっと読子界隈(どこ?)で一番人気の作家さんです。「殺人鬼フジコの衝動」でめっっっちゃめちゃ話題になった作家さんですね。(私もここが入り口)

真梨幸子さんの作品は私の知る限り全部イヤミスなのですが、イヤミス以外の作品も出していらっしゃるのでしょうか?それなりに収集はしているのですが、私の手元には1冊たりともイヤミスでない作品が無い…ぞ…?

とりあえず読子は、イヤミスの書き手で真梨幸子さんの右に出るものはいないと勝手に思い込んでおります。他の方のイヤミスも読みますけれど、やっぱり真梨さんが一番好き!

 

 

 

 

あらすじ

お引越しをめぐる6編の連作短編です。登場人物も主人公も毎回違います。が、「アオシマさん」と呼ばれる人物だけは必ずどのお話にも登場しています。同じ名前ですが時には管理人として登場し、時にはオフィス社員として登場し、時にはエンジニアとして仕事をしており、時には運送会社の名前で出てきたり…と、なんだか不思議な存在です。

連作ではありますが全てのお話がガッチリ繋がっているわけではなく、お話の端々がゆる〜く繋がっています。

 

 

目次

・扉

・棚

・机

・箱

・壁

・紐

・解説

 

 

各話詳細とちょっとだけ感想

引越しを検討している女性キヨコのお話。内見の際に非常扉がとても気になってしまいます。

キヨコ本人はこの物件にするか決めあぐねているのですが、管理人のアオシマさんは「どうです?どうです?もう次に内見の予定が入っていますよ」と決断を促します。これ物件選びあるあるですよね…「埋まっちゃうかもね」って仄めかして決断を促されるやつ。

何故だか嫌な感じがする反面、お部屋自体そう悪くない条件。内見している部屋を出る頃にはキヨコはこの物件にする事を決断し、管理会社に連絡をします。

決めた後に…決めた後なのに、はたと気になってしまった避難経路。

このひっかかりから悲劇が始まります。扉の向こうにどんな地獄が隠れているのでしょうか。

 

ちなみにこれは私が不動産会社の人と内見をしていた時の話なのですが、眼前をサカサカサカサカ…とアイツが駆け抜けてゆきまして、驚いて目をかっ開いていたら丁度いい()タイミングで不動産屋のお姉さんが「どうですか〜✿」なんて可愛らしい笑顔で振り返って聞くもんで、めちゃめちゃ気まずかった思い出があります。(なんの話)

 

 

その棚には消してしまいたい記憶も収納されている。

「親譲りの優柔不断で小供の時から損ばかりしている」みたいなシングルマザーが主人公。娘のカオリちゃんを連れながら何度も引越しを繰り返します。今回もアオシマさんは管理人として登場。

主人公は買い物・仕分け・人間関係など、あらゆる事に於いて優柔不断。

お引越しの作業も「要るもの・要らないもの・保留」で仕分けをすれば間違いなく保留の山が一番大きくなってしまうような人。そのため、引越しのたび「保留」の荷物が増え、一つの棚を圧迫している。今回も引越し直前で「段ボールが足りない」とバタバタしてみたり、要らないものを減らそうとして思い出に浸って片付けが進まなかったりと彼女のダメなところが火を吹きます。引越し準備で同じムーブしちゃう私氏、これには苦笑い…

お母さんのその引越し癖の原因、娘さんは勘づいていますよ。

 

 

 

今度のアオシマさんは「アオシマ運送(引越し屋)」。本人は登場しません。

主役になるのは大企業に勤める夫(左遷されて窓際)と、パートを始めたばかりの妻。夫もストーリーにはチラホラでてくるのですが、今回メインでスポットが当たるのは妻です。

アオシマ運送のコールセンターに勤めた妻は、徐々にその仕事内容やスタッフの態度に疑問を感じ始めます。この会社…なんだか怪しい、と思いつつお仕事をしていると、ある日机から前任者が残したと思われるメモのようなお手紙が発見されます。

そのお手紙に残された衝撃的な内容とは…!

 

 

 

↓ちょっとだけネタバレ。小さい薄文字にしてあるので、見たくないよという方は薄目でスクロールしてください。

 

お手紙が出てきたことで読者と妻の疑惑が確信に変わるのに、最後に大どんでん返しが用意されているのはやっぱり真梨さんのお話の好きなところです。読了後に「おまえか〜!!!!」ってデカめのため息が出ました。

 

 

 

 

私の箱がない…!

今回はオフィスビル内の引越しに於ける、引越し荷物をめぐるお話です。派遣社員さんが沢山いるような大企業のお話で、派遣グループに嫌がらせを受ける正社員が主人公。

自分だけ誤った引越し手順を教えられ、その結果私物を紛失。しかも他人の段ボールが自分のデスク付近に山積みになります。

私はOLというキラキラとした言葉とはかけ離れたお仕事をしていたので、OLさんの生活がどんな感じなのかはわかりません。しかし、都心などで働くキラキラしたOLさんにはOLさんなりの苦労があるのだなと思いました…やっぱり女が集まるとどこであってもダメだな(言い過ぎ)

 

 

隣人の喧嘩の声にまつわるお話。

今回の主人公はシステムエンジニアさんです。ちなみに皆さんの気になる(?)アオシマさんは、パーテーションの向こうでお仕事をしています。自分は効率よく仕事をしながら、他人に話を振りまくってお仕事の邪魔をしてきます。なんなん、こいつ

 

視界だけを遮るパーテーションもアパートの薄壁も、中途半端に声を通すのに話の全貌は明らかにならないのがモヤモヤしますよね。お隣で喧嘩をしている声や物音が聞こえたらそりゃ心配にもなります。自分には関係ない事として割り切ればよいのですが、この物語の登場人物はどうしても気になってしまい、ついに首を突っ込んでしまいます。その結果そんな結末が待ち受けているなんて…

 

 

怪談話をする掲示板を閲覧する女性、サヤカのお話。

彼女も「棚」の女性と同じく引越し魔。違うところがあるとすれば、「紐」の彼女は引っ越したくて引越しをしているという点。

このお話は結構色々なお話とつながっていて、怪談掲示板の中で語られているオフィスビルのエレベーターの話は「箱」とリンクしています。

また、主人公の彼女が引っ越した先は一話目「扉」の女性が内見したあのマンションです。

「ホラーは自分が体験するんじゃなくて、見聞きするに限るよね〜。」というサヤカちゃんは、一人の女性が失踪した建物でどのような経験をするのでしょうか。

「紐」というタイトルなので首を括る話しを想像して勝手にガタガタ震えてましたが、誰も首は括ってませんでした。

 

 

  • 解説

ここまでが本編!!!!

他の作家さんが書評や解説をしているものではありません。

 

 

 

 

感想

読んでいると一緒に切羽詰まったような気持ちになる真梨幸子さんの文章は最高ですね!本当に大好き…そして登場人物も舞台もバラバラなのに綺麗な繋がりを見せるの、何このイリュージョンって感じ(語彙)

 

あとね一番共感したから改めて言及させていただくのですけれど、正直「棚」に関しては私以外にもあの主人公のムーブがわかりすぎて「アーハン…🤦‍♀️」ってなった読者おるやろ!!!いたら画面の前で正直に手を上げてみな!引越し準備で地獄見るのをわかってるのに、なんで要らないものを普段から捨てないの。

 

真梨さんの本、読みたいけれど大好きすぎるがゆえ積読を消化するのが勿体ないというアンビバレンスな感情のせいで、ずっと読まずに大事大事してきてました。本当はとっても読みたかったよ…

ようやく手が出せてよかった…まだまだ積読本はあるので、一冊くらい何だってんだの気持ちで読んでよかったです。あと、ようやく一番好きな作家さんの記事を書けたのも嬉しかった!

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次は何の本にしようかな!

それでは皆さん良いクリスマスを〜!(前回言ったのを無かったことにしてる)(たぶん次こそはクリスマス後)