読子の本棚

読んだ本をここの本棚にしまっておきます。

4冊目:あなたの本 誉田哲也さん②(1)

こんばんは、読子です。

こちらは「あなたの本」②感想編(1)です。

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予備知識なしに「そう言えばこの作家さん見た事ある」の気持ちだけで手に取った本なので、読んでいて初めて短編集であることに気がつきました。タイトルともなっている「あなたの本」は、その四話目です。

 

以下の七編が収録されています。

  1. 帰省
  2. 贖罪の地
  3. 天使のレシート
  4. あなたの本
  5. 見守ることしかできなくて
  6. 最後の街
  7. 交番勤務の宇宙人

 

一作ずつ概要及び感想をご紹介していきますね。

(1)では太字の二話についてお話しします。

 

  • 帰省

一話目「帰省」は、東京に憧れて上京した女の子のお話です。彼女は夢破れた末、クズ彼氏に風俗に落とされてしまいます。自分で稼ぎはしない上に競艇狂いの彼氏。挙句暴力まで振るうのです。

物語は主人公が自室で目を覚ます場面から始まり、そこに彼女の姉が「田舎に帰るよ」と帰省の準備を促しストーリーは動き出します。

 

 

そういえば昨晩暴力彼氏と揉めた記憶がある…起きてから何となくぼんやりした頭…そして、帰省の道中“自宅付近を流れる川で男が死んでいた”というニュースを見かけます。

彼女の脳裏に過ぎるのは「私…彼を殺してしまったのでは…?」という不安。

彼から逃げるために田舎に帰るのか、それとも警察から逃げるために田舎に向かうのか。そして田舎で彼女を待つ運命は?

姉妹の帰省にまつわるエピソードはどちらに向かうのでしょう。(ちなみに私は想像を裏切られました。マジカー)

蝉の鳴き声がストーリーの季節と重なり、真夏に読むにぴったりでした。

 

 

  • 贖罪の地

二話目はSFです。“人類がまだ(文化的な意味で)人として出来上がっていない頃”の記憶をなぞります。

語り主の片言さに旧石器時代味(?)を感じられて良いです。「あぁ、まだ半分猿みたいな人類が喋ってるんだろうな」と想像させるような、そんな文章です。

 

しかしどうやら、その地に暮らすのは類人猿のような語り主たちだけではない模様。時々“白い男”という存在が現れます。自分達に危害を加えることは無く、一定の距離感を持ってこちらを観察する彼らは一体何者なのか。一体どんな目的を持っているのか…。是非ご一読いただき確認してみてください。

人類の発展を見守っているようで、本当に不思議な気持ちになるお話でした。

 

(2)に続きます!