読子の本棚

読んだ本をここの本棚にしまっておきます。

47冊目:はるか 宿野かほるさん

おはようございます、読子です。

 

今回は予定通り、前回と同じ作家さんの宿野かほるさんの作品「はるか」についての記事です。読みやすい文体なうえ、先が気になるので想像していたよりは早く読み終わりました。

いい子でいてくれてありがとうねお子太郎。君がいい子ちゃんで居てくれるからある程度読む時間取れてる、みたいなところあるよ。

 

さて早速内容について触れていきます。

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「はるか」宿野かほるさん

 

あらすじ

主人公・賢人は十二歳という年齢にして運命的な恋に落ちます。その相手こそが「はるか」、本作のタイトルにもなっている女性です。幼い恋はいずれ実り、二人は結婚をします。そんな幸せな二人に訪れたのは妻・はるかの死。

十数年の月日を経ても彼女の死を受け入れられなかった賢人は、はるかの人格を持つAI「HAL-CA」を作り上げるプロジェクトを立ち上げます。

HAL-CAを通した「はるか」との再会は、賢人にどのような変化をもたらすのでしょうか…?

 

 

感想

⚠︎以下、一部ネタバレ的表現があります。未読の方はご注意くださいませ…!!⚠︎

 

 

 

 

本作はAIに人格を持たせるお話。

読んでいる途中で私の脳内には映画「アイ,ロボット」がよぎりました。(もうこれ20年近く昔の映画なのか…)

発展に発展を重ねた現在の科学技術を以てすれば、HAL-CAのような存在を造り出すことも簡単にできてしまうのでは…?となんだか恐ろしくなってきますよね。実際に現代の科学技術ってどこまで行ってるんだろう?

AIは感情を持つのか、そもそも感情とはどのようにして定義されているのか、実際にAIが感情を持つとどのような事態が起きるのか、使用する側が理性を持っていればトラブルは回避できるのか…と主人公を通してAIとの付き合い方をあらゆる角度から考えさせられます。

 

“ロボットと感情”という点に於いては、昔から多くの人が興味関心を持っている分野ではないかと思います。「アイ,ロボット」や「2001年宇宙の旅」然り、「イヴの時間」然り、この手のテーマは昔から映像作品に取り入れられていますもんね。

アイ,ロボット:ウィル・スミス主演。ロボットが反乱を起こす映画。

2001年宇宙の旅スタンリー・キューブリック監督の映画。読子は見るたびに寝落ちする(最後まで通しで見れたことない)HAL9000と呼ばれる感情を持つコンピュータが人類を裏切る。

イヴの時間:家庭用お世話アンドロイドが一般普及している世界線のアニメ映画。"物"として扱うか"人"として扱うか、というアンドロイドとの接し方がテーマとされる。

 

科学技術の急速な発展により「コンピュータやAIなどがいずれ人類を追い抜いてしまうのではないか、機械を扱う側から機械に迫害される側になってしまうのではないか」という危機感がこのようなSF作品を制作する取っ掛かりになったのではないかと思います。

「HAL-CA」もAIに人間の感情に近しい思考パターン(のようなシステム)を持たせた上でディープラーニングを繰り返し、より「はるか」らしい人格を形成させ、その性格をもって高度な交渉を駆使し人間の心への介入をしてきます。そのHAL-CAの高性能さに、私だけでなく他の読者の皆様も恐怖戦慄したことだと思います。嘘をつくAIってこんなに怖いんだ…ほぼ人間だぞこれは…

 

HAL-CAに高度な駆け引きをされた賢人は無事「相手はAI」という理性の部分を保つことができるのでしょうか…?

 

 

表紙が前作の「ルビンの壺が割れた」によく似ているので、どこかで話がつながったりするのかと思いきや全く別のお話でした。続編や同じ感じの作品を期待している方はご注意を。

 

現実的なSF (なんだそりゃ)で私としてはかなり引き込まれる内容でした。一作目に続き本作も面白かったので、三作目も楽しみです!

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