読子の本棚

読んだ本をここの本棚にしまっておきます。

40冊目:彼女は頭が悪いから 姫野カオルコさん

 

こんばんは、読子です。

最高に気分が悪いです😇😇😇(体調的な方ではなくて)

入院中のイベントでちょっとブルーになっているのもありましたが、それに拍車をかけたのはこれ。

 

おすすめしないって言われたのに読んでしまったのよ…

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「彼女は頭が悪いから」姫野カオルコさん

 

 

Twitterの相互さんの読了ツイを見て興味を持ってしまいました。ボロクソ言われてるのを見て「読みて〜!!」のスイッチが入り、それを伝えたらツイ主さんにめっちゃ止められました。

過去読子イヤミスが好きなので!大丈夫、辛ければ辛いほどいい!!」そして意気揚々と手に取った本書。

 

 

 

しかし読み切った今の私は過去の己に言いたい。

人の忠告はきちんと聞くものですよおばかさん…

 

想像のうん倍辛かったです。

中盤以降はちょびちょびしかページが進まなかった。入院患者特権で読む時間だけはなんぼでもあったのに、読む気が起きなくて本を手に取る頻度すら少なくなりました。(読み進めない日もあった)

 

第32回柴田錬三郎賞を受賞し、広汎な読者を魅了しうる作品として評されたそんな本書「彼女は頭が悪いから」は、果たしてどのような本なのでしょうか。

 

 

目次

  • プロローグ
  • 第一章
  • 第二章
  • 第三章
  • 第四章
  • エピローグ

 

 

あらすじ

東大生5人による女子大生強制わいせつ事件をモデルにした、実話ベースの物語。

主人公のつばさ・美咲が各々の高校生時代を過ごし、大学生及び大学院生になってから出会い、そして事件に発展するまでの胸糞悪いエピソードが綴られています。割とどこを切り抜いても上質な気分の悪さ()を味わえる作品です。

事件自体に触れるのは第四章のみ。それ以外はそこに至るまで、双方(及び他4人の東大生)がどのような家庭環境でどのような価値観を育んできたかが語られます。

 

 

感想

☟以下結構ネタバレがあるのでご注意を!☟

 

 

 

 

 

 

 

 

いい大人が揃いも揃って

「えっ…?なんで逮捕…?」

みたいなムードになってるのが本当に気持ち悪いです。イミワカンナイ!みたいな感じ出さないで。読者はあなた達のその“芯からの悪気のなさ”が意味わかんないって思ってんだから。

悪いことをしたという自覚が心の底から無くて寧ろ勘違い女にこれまでの華々しい人生を台無しにされた被害者だとすら感じている彼らには鳥肌が立ちます。

 

『性行為に至るのも、ポルノ画像(動画)の撮影も、女の子主導であってこちらからは何も促してはいない。』と主張するものの、“東大生”というブランドをチラつかせれば女の方から【東大生とお近づきになりたい】という下心で勝手に服を脱ぐと主張しているあたり普通に狡猾さはあるし、メンバー一人の逮捕をきっかけにネットで販売していた写真や動画を焦って消すあたり悪事を働いているという認識はゼロでは無かったのでは…?どうしてそこの判断がつく人間が、『お遊び』と称し美咲に

・バカな女に罰ゲームと称してお酒を強引に煽る

・服を無理やり脱がせる

・胸を揉む

・ポムポムプリンのチャームポイントを割り箸でつつく(正確に書いたら私のアカウントが消し飛ぶ)

・食べて熱いと感じたカップ麺を裸の胸元に落とす

・叩く、蹴る

こんな行いができるのでしょうか?それで「なんで警察に駆け込まれたのかわかんない。この程度のことで…?」と思えてしまう素晴らしい思考回路。理解に苦しみます。東大に入る頭はあるんよなこの人ら?

 

そして自分らが捕まる前に

「勘違い女」「部屋について行った女が悪いんじゃね?」「女のせいで人生壊されてて東大生の方が可哀想」「わかっててついて行ったくせに被害者面乙」

などと、ありとあらゆる掲示板で美咲批判の自演書き込みをして、世間から自分たちへの同情ムードを煽るのがまたコスいというか悪質というか。

もちろんこれに流されて

「中学二年女です。私も女側が悪いと思います。男の家にホイホイついていくバカな女に人生壊されるなんてバカバカしい。詰めが甘かったんです。トイレの便器にでも頭突っこんでウンコくわせて、訴える気すら失くすくらい徹底的にボロボロにしてやるべきだったんですよ。(意訳)」

というような存在も出てきて、ラストスパートはえずきながら読む(ストレス耐性弱者)みたいな惨事でした。どうやって生きてきたらそんな酷いこと思いつくんかな?

というか、湊かなえさんの「夜行観覧車」の時にも言及したんだけど背景を知らん人らによるネット上の断罪は一体なんなん???

 

 

美咲ちゃんは本当に恋心だけだったのに。

“東大生”であるつばさを好きになった訳ではなく、好きになったつばさが偶然“東大生”だっただけのに…つばさたちにとって“東大生”という言葉がもたらす歪な自信は、ただの好意ですら「下心からなのだ」という解釈に捻じ曲げてしまっていました。

 

 

 

500ページにもわたって延々と『大学生のきしょいストーリー』が綴られている作品。

キサラづ@読書 さん

 

とツイ主さんも仰っていたのですが、その言葉をそのまま拝借しまして、ほんっっっっとうに

大学生のきっしょいストーリー

でした。“東大生”というブランドを手にしたことで肥大化した自尊心、大学生特有のイキリムーブ。見るに耐えなかったです。常に考え方のベースが【上と下】【東大とバカな大学】なんですよね。全能感凄いんだろうなあ。

 

 

本当にお勧めしないと言われたのに、なぜ読んでしまったのか…

最後の最後までこの人らは全然反省していなかったし(そもそも悪い事をしたという認識があまりに希薄)、それぞれのママ達も「なんでうちの子らが被害者に?」みたいなマインドだったので救いはありません。

ちなみに現実の事件は2016年のものなのですが、私は詳細に事を知らなかったのできちんとググりました。親御さん達の華々しい経歴パワー(権力!!!)で結構揉み消し方向の力がかかった結果、お咎めも少なかったようです。現実でもこいつら反省してねーのかって携帯を壁に投げつけそうになりました(不穏患者)。

 

ままならねーなあ。(今回ずっとお口が悪い)

元気が出る本読みたいなあ。でもそもそも私の積読が陰気だから、夫が持ってきてくれた本たちみんな鬱々としてるな…ちょっとしたら本読む元気、出るかなあ。

 

私も気持ちが入り過ぎる人にはあまりお勧めできないなと思いました。(冷静に読める方は是非どうぞ!)

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