読子の本棚

読んだ本をここの本棚にしまっておきます。

27冊目:夜行観覧車 湊かなえさん

こんばんは、読子です。

 

今回は湊かなえさんの「夜行観覧車」です。

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カバーデザイン:大路浩実さん

カバーイラスト:米増由香さん

綺麗な表紙ですが、よく見るとおどろおどろしいですね。なんとなく魔法少女まどかマギカの、魔女関連のデザインをしている劇団イヌカレーさんの作風に似ているなと思いました。好きなんだこういうなんかドロっとした感じが。

 

 

目次

第一章 遠藤家

第二章 高橋家

  小島さと子Ⅰ

第三章 遠藤家

第四章 高橋家

  小島さと子Ⅱ

第五章 遠藤家

第六章 高橋家

  小島さと子Ⅲ

第七章 ひばりヶ丘

第八章 観覧車

  小島さと子Ⅳ

 

 

あらすじ

高級住宅地のひばりヶ丘で起きた、一つの殺人事件をめぐる物語です。

少し(金銭的に)背伸びをしてひばりヶ丘に住んで以降、娘の癇癪が絶えない遠藤家。一見幸せそうでも事件の舞台となってしまった、裕福なお医者家庭の高橋家。お局よろしくひばりヶ丘を取り仕切り、よそ様の家庭に無遠慮に首を突っ込む小島さと子。事件前後のこの三世帯の様子を、章ごとに順繰りに見ていく物語進行となっています。

高橋家の妻による夫殺人。事件と共に失踪する高橋家次男。普段的に奇声・怒声が聞こえてきてむしろ事件が起きそうな家はこっちやろ…な遠藤家。高級住宅街ながら不穏すぎるひばりヶ丘で、罪を冒した真犯人は誰?

 

 

感想

「その程度のことがきっかけで?」じゃなくて「積み重ねだよ…!!!」というのが凝縮されてる一冊でした。

 

「何が原因でそんなに怒ってるの?!」というの「どっちが悪い」だの「その程度でそこまで怒る必要があったのか」だのSNS上でも日々第三者によって勝手に審判されているのを見かけますが…

 

 

結局これ。

(納得いかないけど我慢していたことの)積み重ね

 

周囲はあれこれ言うかもしれんけどね、こんなのやっぱり第三者にはわかりませんのよ。

本人が日々どれだけ我慢してきたかなんて、その場で取り上げられてる一つの事象だけではわかりません。その人の立場に立って経過を全部見てきた人間だけが公正にジャッジできるんですよ。それさえも公正かどうかわからんけど。家族でさえわからないのに赤の他人がわかるわけないものね。

 

 

加害者世帯であり被害者世帯でもある高橋家に、悪口のビラが貼り付けられたり石の投げ込みで窓ガラスが割られたり、ネット掲示板で有る事無い事書かれたり、という描写もあったのですが、こう言う描写…なんだかやけにリアルで本当に気分が悪くなりました。

野次馬は聞かれてもいないのにとやかく言うもんじゃないし、勝手に巻き込まれた気持ちになって正義マンが私刑を下すみたいなのもすべきじゃない。

でも正義マンってこう言う思考回路で私刑に走るんだな、というのはわかりました。わかった上で気持ちはわかんない。

 

犯人探し的な意味ではミステリー的な部分もあるけれど、それよりももっと…人間同士の汚いところを突きつけられたなと読んでいて思いました。

 

 

あっ、ところでこれドラマ化しているらしいんですけれど、小島さと子役に夏木マリさんはハマり役だなと思いました。お節介な野次馬おばさん、何故か似合ってる。決して夏木さんがそう言う人間だと思っているわけではなくて…

石田ゆり子さんが出てるので是非ともドラマも観たいです。美!✨

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それではまた次回!