読子の本棚

読んだ本をここの本棚にしまっておきます。

28冊目:満願 米澤穂信さん

こんばんは、読子です。

 

今回はスクールミステリー「氷菓」で有名な米澤穂信さんの短編集「満願」です。

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何やらミステリーランキングで三冠してるもの凄い作品みたいです…!すごい…!!

 

 

目次

1.夜警

2.死人宿

3.柘榴

4.万灯

5.関守

6.満願

 

 

各話あらすじと感想

1.夜警

お巡りさんに向かない新人と、その上司のお話。

緑1交番に新人として赴任してきた川藤。直属上司の柳岡は、過去に自分が行った指導がきっかけで部下を自殺させてしまった過去が心に蟠っており、川藤にストレートな指導が出来ずにいた。明らかな素行の悪さでは無いにしろ、失敗の隠蔽や新人らしからぬ横柄な対応で警察官としてはやや難ありの川藤。対してどこまでその勤務態度に目を瞑るべきかと悩む柳岡。

そんな川藤と柳岡が、夜間の勤務中に過激な男女のいざこざの仲裁に入るストーリーです。

初めはミステリー色が薄く、そういえばこれミステリーだったよね?だとか、どこからミステリーが始まるの…?などと思っておりましたが、最後にやってきたのは畳み掛けるような怒涛のミステリーでした。伏線の貼り方上手すぎてミステリーに繋がる空気すら読み取れてなかった…

一話目からため息が溢れるようなミステリーでした。

 

2.死人宿

そこは自殺をしにくるお客さんが泊まる宿。自分以外の三人の宿泊客、今夜自殺を図る遺書の持ち主は誰…?というお話。

一話目に対して結構序盤からミステリーらしいミステリーでした。コテコテが好きな人はこっちの方が好きかもしれません。主人公と一緒に一生懸命推理して、がっつり騙されました(ニッコリ

 

3.柘榴

お恥ずかしながら初見で読めませんでした…!!!ググりましたザクロって読むんですね(全力赤面)!!

美しい母親と二人娘たち(こっちも美しい)、そして父親のお話です。夫婦の関係は離婚に発展し、最終的には「親権はどちらに?」という議論にたどり着くのですが、そこに柘榴にまつわる神話が絡んできて不穏なのに何故だか美しいお話でした。神話×美しい姉妹のコンボで脳内はお耽美映像ですが、後味は悪かったです(幸…

 

4.万灯

海外に事業の手を広げる商社の男が、海外転勤先であれこれ交渉したり殺したり(?!)するお話です。海外で知り合ったライバル社の男を殺した主人公。被害者男性とは元々面識は無く、赴任先で突発的に出会った…彼との繋がりがある事は国内で世間に知れておらず、完全犯罪になるはずだったのに!主人公が裁かれることを待つ羽目になってしまったのはどうして…?!という謎に迫るエピソードでした。

凄いスルーしたところがしっかり大事な伏線だったので、己の推理力の乏しさに「まだまだだね!」って判子を押しておきました。でも主人公と一緒にヒヤヒヤしながら頑張ったね💮ポンッ

仕事に命を懸けすぎて、大切な物を捨てすぎた男のお話でした。

 

5.関守

都市伝説記事を書きたいライターが、死亡事故が続く峠付近のオンボロドライブインで小さな婆さんに取材するお話。

お婆さんが事故にまつわるお話をのんびりポツポツと語る姿を想像して、私もお婆さんのお話に飲まれてソワソワしてしまいました。早く、早く先の話をしてくれ…!!

医療事務をやってドライブインの小さな喫茶をやって、それでいてお客をお話に引き込むのが上手…多才なお婆さんでした。

 

6.満願

元下宿先の奥さん(鵜川妙子)の担当弁護士をすることになった男の話。法学部学生時代に火災によって住む家を失い、下宿を余儀なくされた主人公。そんな彼を受け入れてくれた下宿先の家主は畳屋主人・鵜川重治と、その妻の妙子でした。

物語は妙子が重治の死の直後に、一審後の控訴を取り下げるという所から始まります。

一審後までは戦う意志を見せていたのに、なぜ妙子は控訴を取り下げるに至ったか…その謎を弁護士になった主人公が過去を振り返りながら追い求めて行くミステリーです。

調布には深大寺という素敵なお寺があるのですが、そこで催されるだるま市もエピソードとして盛り込まれていました。近くに住んでいる時に行ってみればよかったなあ…

 

 

どのお話も味のあるミステリーでした。一話たりともまともな推理はできなかったけれど、いいんだこれで。作者さんのストーリーに踊らされるのがミステリーの醍醐味ってもんよ。と思うことにします

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ではまた次回!