読子の本棚

読んだ本をここの本棚にしまっておきます。

41冊目:傲慢と善良 辻村深月さん

こんばんは、読子です。

 

少し(いや結構)前に、ありとあらゆる読書垢の方々がこぞって読んでいた本についに手を出しました。

 

 

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「傲慢と善良」辻村深月さん

 

正直もっと早く読みたかった。なぜいつも流行してから一歩半くらい遅れて読んでしまうのか。読んだらわかる皆さんの盛り上がりよう。私もかなりの良作だと思いました。皆さんと同じタイミングでキャッキャしたかったよ…

※乗り遅れたので、今からここで一人寂しくキャッキャします

 

 

目次

  • 第一部
  • 第二部
  • エピローグ

 

二部構成とエピローグです。

第一部では男性主人公の架(かける)の目線で物語が語られ、第二部では女性主人公の真実(まみ)目線で、事件の裏で起きていた真実(しんじつ)が語られていきます。

 

 

あらすじ

交際期間が一年半程になる架と真実は、婚活によって出会ったカップルです。

架はある日、恋人の真実から「ストーカー被害にあっているかもしれない。最近身の回りでおかしなことが起きている気がする。」と打ち明けられます。その後ストーカーは不在の真実宅へ侵入。この出来事をきっかけに架はついにプロポーズに踏み切り、二人の関係は恋人から婚約者に変わります。

本来ならば幸せいっぱいの時期のはずですが、不穏な疑惑はとうとう事件へと発展。何の前触れもなかったその日を境に、真実が架の前から忽然と姿を消してしまったのです。以前からストーカー被害にあっていたものの、間も無く結婚をするということもあり警察には被害相談をしていませんでした。しかし遂に事は起きてしまいました。

結婚式を控えた真実は一体どこへ?真実とストーカーとの関係は?

ミステリーのように進行する恋愛(婚活)小説の中で、様々な人の“傲慢さ”が描かれます。

 

 

感想

ネタバレになるので詳細は述べられませんが、とても好みな終わり方でした!お話の流れから、良い結末は無いだろうな…と思っていましたが、どうにかバッドエンドは回避。ラストには救いがありました。

 

作中では登場する人々がありとあらゆるタイプの“傲慢さ”を見せてくるので、物語の至る所で過去の自分の言動がチラつき横っ面を引っ叩かれたような気持ちになります。

恐らく誰が読んでも、どこかしらで心当たりのある己の嫌な部分を見せつけられるんですよ。

この《私にも心当たりがある》感からは誰も逃れられません。

なので、誰に見られているわけでもないのに、何となく気まずい表情をしながら500ページ弱の本を読むのです。先に盛り上がってた皆さんも多分こんな顔しながら読んでたんじゃないかなあ…

本読んで一人で気まずい感じになるってそうそう無いで。何だこの感覚。

 

 

500ページもあると印象の強かった場面は数多く存在するのですが、その中でも特に記憶に強く残ったエピソードは、

婚活における“ピンと来ない”という感覚について。

この感覚は多くの婚活プレイヤーに共通する悩みなのではないでしょうか…?正体はよくわからないけれど多くの人が陥りがちなこの感覚を、結婚相談所のおばあさまが本書内で暴きます。

「ピンとこない、の正体は、その人が、自分につけている値段です」

「値段、という言い方が悪ければ、点数と言い換えてもいいかもしれません。(中略)ーー私の価値はそんなに低くない。もっと高い相手でなければ、私の値段とは釣り合わない

これは…これは本質過ぎる…

 

「ピンと来ない」という漠然とした感情の根底にまさかそんな気持ちがあるだなんて、きっと誰も気づきたく無いはずです。顔を背けて見ないようにそっと蓋をしている部分を、このおばあさんはとんでもねえ解像度で突きつけてきます。

 

もう既にこの段階で心めちゃ痛ですが、結婚相談所のおばあさまはこの後にも容赦なく続けます。

「ささやかな幸せを望むだけ、と言いながら、皆さん、ご自分につけていらっしゃる値段は相当お高いですよ。ピンとくる、こないの感覚は、相手を鏡のようにして見る、皆さんご自身の自己評価額なんです」

ちょっと…、衛生兵…!衛生兵!!!!

広範囲被弾!しにんがでる!もうやめて!!

 

更にこの後にも「自己評価は低いのに自己愛は高い」等、殺傷能力すら持つような言葉が出てきます。…が、そのあたりは本編にてご覧ください。もう既にこの記事内は辺り一面焼け野原なので、これ以上のものはここで投下できません…

 

 

要するに、婚活で色々な人と出会っては“ピンとこない”を何十人と繰り返すのって

自己評価の物差しの上で「この人も私には釣り合わなかった」と無意識の間に相手を評価してる

という事。理想はそんなに高く無い、多くは望まない、という方なのに何故か成婚に至らないのは、ここに気付けていないからなのですね…

婚活ってなんてハード…

たくさんの人との出会いを繰り返す婚活に疲れてしまうのは、きっと無意識に相手を評価しているだけではなくて、気づかないうちに相手の評価も受け取ってしまっているからなんでしょうね

 

 

また、もう一つ印象強かったエピソードが架の女友達たちがヤイヤイいう場面です。

この子らがね、本当に要らんこと言うんですよ。

頼まれてもないのに勝手に架の恋人を評価したり、二人の関係に口出ししたりして。特に親友だというその女は、自分自身は別の男と結婚しているのに「架には釣り合わない女だ」というのを明確に真実にぶつけてくるんですよね。

こんなのKING of 余計なお世話ですわ。

あんたが結婚する相手じゃないだろ。素人は黙っとれ(TOKIO城島リーダーの画像)

彼氏の女友達が1番の敵”という全国各地で起こりがちというか、女性(主語デカ)の共通認識というか、そういう《どっかで聞いたことある》みたいなののエッセンスを具現化したような女の存在には最高に嫌な気分になりました^^ω

 

でも架はそんな女たちに流されない男で安心しました。友達の干渉に対して毅然とした態度が取れるの、とても格好がいい男だと思います。

「付き合いの長い友達の意見」と流されるのではなく、「二人のことだから」と分けて考えられる男性is素敵。

 

 

…タイトルが「傲慢と善良」なのに、なんだか善良さに欠ける傲慢さばっかり拾った記事になってしまいました。というか記事自体から溢れ出る傲慢さ。読子、性格出てるぞ気をつけろ。

私はもっとこんな読了感だったよ!というご感想がございましたら是非コメントをお願い致します!

 

でもいいラストだった!

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ボリュームしっかり目の本が続いたので、次は薄めの本にします。それではまた!