読子の本棚

読んだ本をここの本棚にしまっておきます。

36冊目:和菓子のアン 坂木司さん

こんばんは、読子です。

 

ここ数日、私の入院しているあたりの地域は梅雨の晴れ間が続いて気持ちが良いです。

そんな日に読むのは甘くて優しいミステリー。前回の「レインツリーの国」に続き低刺激な本にいたしました。今回は和菓子屋さんのお話です。

 

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坂木司さん「和菓子のアン」

 

 

目次

  • 和菓子のアン
  • 一年に一度のデート
  • 萩と牡丹
  • 甘露家
  • 辻占の行方

セクションごとに分かれていますが、内容バラバラの短編集ではなく、同じ登場人物たちが各章で異なるテーマの謎解きをします。一冊を通して和菓子屋さんミステリー「和菓子のアン」です。

 

 

あらすじ

和菓子のアン

高校卒後進路無し、愛嬌が売りのふっくら系女子・梅本杏子(通称アンちゃん)が「みつ屋」に馴染むまでのお話です。デパートの地下にある和菓子専門店のみつ屋には個性的なスタッフがいっぱい。果たして彼女は、このクセ強スタッフの中に馴染んでいくことができるのでしょうか…?!アンちゃんの和菓子屋ライフ、賑やかな幕開けです。

 

一年に一度のデート

七夕を巡るお話。季節の上生菓子のお話が中心になります。大切なお席や大切な人に差し出されるお菓子には、時に強い願いが込められます。和菓子の良さは美しい見た目だけではありません。それ一つで“誰かの願い”や“大切にしている思い”を秘める存在にもなり得るのだ、という和菓子の新たな魅力を教えてくれるお話です。

 

萩と牡丹

あんころもちのお話し。どう見てもカタギではない怖いおっちゃんのお客さんが登場します。他のスタッフの目を盗み、アンちゃんに絡んできては「腹切りだな…」「半殺しだ」と怖いセリフを吐いていきます。この怖いおじさんは誰…?!私はヤクザに命を狙われているの?!!

 

甘露屋

🍡「そんなにたくさん(売れ残りの)ケーキを買って帰るんですか?」

🍰「これは、兄です…」

🍡(お兄さんにお使いを頼まれたのかな…?)

近隣の販売スペース、洋菓子屋「金の林檎」の派遣スタッフさんの奇妙な行動から始まるミステリー。洋菓子屋の可愛らしいフリフリエプロンに似つかわしくない、その浮かない顔にアンちゃんは心配をします。

ケーキ屋さんの彼女はどうして悲しげなのか、沢山のケーキを持ち帰らせる“兄”とは一体なにものなのか…ヒントは隠語の中に隠されていました。

 

辻占の行方

「これ、全て白紙の紙が入ってて…」

「この絵柄の意味は一体なんでしょうか…?」

AKBの指原莉乃さんがセンターを務めておられた可愛らしいお歌でも有名な“フォーチュンクッキー”。実はフォーチュンクッキーの起源は、元々日本でおみくじ入りのお菓子として存在していた“辻占”なのです。年始にイベント商品としてみつ屋に置かれる“辻占”。誰もが気になる新年の運勢ですが、どうやら何かがおかしい。中のおみくじが全て白紙だった、変な絵柄が入っていて内容がわからないなどの問い合わせが続き…

 

 

感想

和菓子の知識を吸収しながら、アンちゃんの成長を見届けられる優しいミステリーです。

 

ミステリーですが流血沙汰は起きません。悲しくて辛いのは嫌!というソフトなお話がお好きな方におすすめ。

 

坂木司さん作品は「シンデレラティース」と本作の二作を読んだのですが、どちらも高校生と大人の狭間に居る年頃の女の子が等身大の自分で頑張る物語で、とても可愛らしいのです。

自分の体型にコンプレックスを持ちながらも飾らない生き方をするアンちゃんとても素敵で、後輩にこんな子が居たら確かにみつ屋メンバーみたいに可愛がっちゃうだろうなあ、と思いました。

そして、愛らしいのはアンちゃんだけではありません。みつ屋周辺のメンバーも凄く個性的で、なんだか愛おしくなってしまうような人ばかりなのです。

 

  • バックヤードから時々叫び声、ギャンブラーな椿店長
  • 誰よりも繊細で誰よりも乙女チック、職人志望のイケメン立花さん
  • 元ヤン上がりの美少女、桜井さん
  • 化粧品専門店の魔女、五月さん
  • どう見てもヤクザ、立花さんの師匠で服のセンスが振り切ってる松本師匠

 

いや濃すぎかて。

濃すぎるメンツながらも穏やかに過ぎる日常に、読者もつい笑顔が溢れてしまうのです、不思議と。なんて愛おしい面々…

私はクネクネするイケメン、乙女チックな立花さんが大好きよ。

 

 

 

ちなみに本作、今回が初回読了ではありませんで、初めて読んだ時は入院中ではなく外の世界でフリーでした。

読了後は二週間くらい毎日豆大福を食べ続けました。

 

太りました。深刻な影響

 

 

他人事ではありませんからね。読むと想像の数倍和菓子が食べたくなるんです。本当に。

普段洋菓子派で(生クリームとホイップクリームは違う!全然違う!!!のクリーム過激派)、「好きなお菓子買っていいよ」と言われればシュークリームやケーキ一択でしたが、これを読むと

「どら焼きどら焼きどら焼き…羊羹すあま練り切り…あああ豆大福が食べたい…ざらめのついたカステラ、お団子…」と両手の震えが、震えが…(バキバキの目)

やっべぇ入院中でよかった…と正直今の環境に安堵しております。外だと間違いなく和菓子を食べ散らかしておりました。

 

それくらい和菓子の魅力たっぷりな一冊ですので、「洋菓子に比べたら和菓子は冴えんなあ。まずパッと来ないビジュがなあ…」なんて思っている方には是非ご一読いただきたいです。

 

和菓子って本当に奥が深くて、同じお菓子でも季節によって名前を変えたりするんです。

味だって実は洋菓子と同じくらいバラエティに富んでいるんですよ。「どうせ餡子」は間違いです。柚子や柿、イチゴなど、季節のフルーツを織り込むことで風味が変わって全然違った魅力を見せます。

お団子一つとっても、そこに粒あん(こし餡)が乗っているか、みたらしか、3色か、ずんだ餡か…とかなり幅が出ますものね。これだけの幅の中から好きなのを選んでいいんですよ…!すごい!!

 

 

食べ物の話でちょっと熱が入りすぎました…!おしゃべりしすぎたので今日はこの辺にしておきますね。退院する頃には和菓子熱が少し下火になってますように。(食べすぎるから)(妊娠で既にガタイ良くなってるのに?)(まだ成長するの?????)

みなさんも食べすぎ注意ですよ〜!!!笑

 

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