読子の本棚

読んだ本をここの本棚にしまっておきます。

55冊目:儚い羊たちの祝宴 米澤穂信さん《第2回 本の虫たちの読書会》

こんばんは、読子です。

ようやくです…ようやく実施できました…!

 

第2回

本の虫たちの読書会〜!!!!

こちらは

  • 「郵便局のおじさんは9時40分ごろやってくる」のニードル様
  • 「本好きの秘密基地」のはむちゃん様

のお二人と、3人での読書会です。

 

私のつわりと入院、そして産後のドタバタで長らく開催をストップさせていただいておりました。

ニードルさん、はむちゃんさん、お待たせしてしまって大変申し訳ありません。また輪の中に混ぜていただけて本当に嬉しいです!ありがとうございます😭✨

 

 

さて早速ですが、僭越ながら今回は私が選書をさせていただきました。

 

今回の課題(?)図書は

 

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儚い羊たちの祝宴米澤穂信さん

 

氷菓」や「ボトルネック」などの作者さんです。とりわけ氷菓知名度が高く、アニメ化までされていましたね。千反田えるちゃんの「私、気になります!」も一躍有名な台詞となりました。最近では「このミス」「週刊文春」「ミステリが読みたい!」のミステリー賞三冠作品の「可燃物」も本屋さんで平積みになっていますね。

今回はその作者、米澤穂信さんの百合系お耽美ミステリーです。

そう…皆様ご存知の通り(存じ上げない)読子はお耽美系百合が大好物。もうね、期待しかない。それでは早速読み始めましょう、不穏なお耽美ミステリー小説…!(バキバキの目)

 

 

目次

  • 身内に不幸がありまして
  • 北の館の罪人
  • 山荘秘聞
  • 玉野五十鈴の誉れ
  • 儚い羊たちの晩餐

全5話です。各話独立していますが、全て読書サークル「バベルの会」に参加するお嬢様の周りで起きる事件として、ゆるく繋がっております。

 

 

各話あらすじ

*身内に不幸がありまして*

村里夕日は、丹山家の吹子お嬢様に仕える使用人。幼い頃からお嬢様と長い時間を共にし、読んだ本の感想や秘密をも共有しておりました。

そんな二人にも、ついに離れて暮らさねばならぬ時がやってきます。お嬢様が大学生になり、家を出たことに寂しさを隠しきれない夕日。対して一人暮らしを始めた吹子お嬢様は、読書サークル“バベルの会”の活動にご執心です。夏休みにサークルで行われる予定の、初めての泊まりがけ旅行にも胸を躍らせていたお嬢様。しかし、丹山家で起きた一つの事件によりサークルの旅行に参加できなくなってしまいます。そして事件は、何故か毎年夏休みの頃に起こり…

 


*北の館の罪人*

片親の母を亡った主人公・内名あまりは、母が今際の際に残した「六綱(資産家の父)の屋敷に行きなさい」という命に従い六綱家に入ります。あまりが六綱家に身を置く代わりに、腹違いの兄弟から提示された条件は「北の館に住み込み、一人の男の世話係をしろ」と言ったもの。

北の館と呼ばれる建物は厚い鉄の門扉で閉じられており、豪奢な座敷牢のような造り。そんな建物に幽閉されている、世話の相手である早太郎は変わり者で…

 

 

*山荘秘聞*

山中の外れにある山荘“飛鶏館”の管理を任された屋島守子のお話。飛鶏館は立派な別荘ながら、守子が管理者を担って以降その役割を果たしたことは一度もありません。こんなにも美しい建物で、こんなにも手をかけているのに…と現状に不満の守子。

そんな飛鶏館に、ある日初めての客人が現れます。雪山で遭難し、滑落して怪我をしている越智という若い男性。守子は越智を屋敷に運び入れ、怪我の手当てをします。待ち侘びた来客に、守子は意気揚々と世話を焼くのですが…

 


*玉野五十鈴の誉れ*

小栗家の実質的な当主として君臨するお祖母様に、飼われるようにして暮らす主人公・純香のお話。お祖母様は男児の世継ぎを欲しがるものの、純香の母は男の子に恵まれませんでした。ひとり娘の純香は、お祖母様の厳しい監視のもと次期当主としての重荷を背負いながら、全てを諦めるようにして日々を過ごします。

友達さえ選別され「下賤の者と付き合うな」と友人を遠ざけられる純香。そんな孤独なお嬢様の十五歳の誕生日に、お祖母様からある贈り物が与えられます。「お前もそろそろ人を使う事を覚えなさい」と。そうして純香の元にやって来たのが玉野五十鈴でした。

 


*儚い羊たちの晩餐*

かつてバベルの会が活動場所としていたサンルームを訪れる一人の女学生。今や廃墟となったその場に残された、元メンバー・大寺鞠絵の日記を彼女が読んでいくお話。

ある時鞠絵は、会費の納入が間に合わずに会員の座を追われてしまいます。納入が遅れたのは父の責任であるにも拘らず、「他の資産家とのコネクションを作るために」と何としてでもサークルに戻るよう鞠絵に無理を言う浪費家の父。しかしバベルの会の会長は、鞠絵が会員に戻ることを許さず…

 

 

各話感想

*身内に不幸がありまして*

一話目から“お嬢様と姉妹のように過ごしてきたお付きの使用人”という王道カップリングで、胸熱すぎました。(何)

外の世界に楽しみを見出したお嬢様に対して、「寂しい…」ってしょんぼりしちゃう夕日ちゃんがとても可愛い。ミステリーとしてもよかったけれど、それ以上に「いい百合だった」の感想が先行します。(実りませんでしたが。それも含めて“良い”…)

 

 

*北の館の罪人*

うおおおおい!!

ラストが!ラストが…!!!!

早太郎の謎めいたお買い物の正体がわかるところから、なんだか温かい気持ちになってしまいました。…が、やはり最後まで気が抜けませんね。ラストの落差がエグいです…

この回では読書サークル“バベルの会”自体は大きく絡みません。六綱家の身内がメンバーの一人で…という関わり方でした。今のところ、バベルの会自体が一体どんなものなのかははっきりしていません。

 

 

*山荘秘聞*

別荘の描写がとても丁寧で、読んでいると脳内にとても美しい建物が浮かんできます。実際に見た訳ではないのに、細部まで想像が行き届く描かれ方でした。

さてこのお話では、以前守子が仕えていた家のお嬢様がバベルの会のメンバー。読書会に参加するところに、実際に主人公の守子が立ち会っています。どんどんバベルの会に近づいて行っていますね。気品あるお嬢様方の集う楽しげな会の思い出に浸りつつ、主人公が飛鶏館で好き放題します。

もうね、サイコパス仕事へのプライドが大暴走。経験やスキルを活かす方向性が圧倒的に間違っている。どうして。

 


*玉野五十鈴の誉れ*

五作品の中でいちばんすきです。ラストは泣きながら読みました。

お祖母様嫌すぎるし、リアルにこういう価値観の人がたくさん居た時代があるということに改めて恐ろしさを感じます。今こんなの居たら本当に時代錯誤過ぎるやで…

孤独な純香お嬢様と従順な五十鈴の関係性がとてもよかったです。イカれたお祖母様のもとで全てを諦めるようにして暮らしていた純香。その冷え切った心に、陽だまりのような温かい光を落とす五十鈴に純香が強く惹かれた理由もよくわかります。できればもう一度、二人で友達として笑い合って欲しかったんだけどなあ。

ちなみに今回のバベルの会との関わりは、純香本人の在籍による直接的なもの。楽しみにしていた蓼沼での合宿には参加できませんでしたが…

 


*儚い羊たちの晩餐*

最終話の「儚い羊たちの晩餐」はラストを飾るに相応しい内容だと思いました。鞠絵お嬢様、わかっててサークルの人間を皆殺しにするような注文を厨娘に言いつけたの本当にこわ…😇仕返しのレベルが桁違いなんですよねえ。

そしてついにこのお話で、読書サークル“バベルの会”がお嬢様達にとってどんな存在であるかが明かされます。バベルの会の正体がわかると、なるほど…タイトルが回収された、という気持ちになります。

「身内に不幸がありまして」の吹子お嬢様は参加できてないし、「玉野五十鈴の誉れ」の純香お嬢様もサークルを辞めてるから、この二人は難を逃れられたのかな…?感じのいいお嬢さんたちだったから、この子らは助かってよかったです。

穂信さんこんなエグいストーリー書く人だっけって思ったけど(私の中ではスクールミステリー氷菓の印象が強い)、よく考えたらボトルネックもあれイヤミスだわね。

 

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ボトルネックもいつか再読したいです!

おしまい!

 

 

 

54冊目:乳と卵 川上未映子さん

こんばんは、相変わらずあまり本が読めない読子です。こんな環境なので、今回は薄めの本を選びました。初めての作家さんです。

 

 

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「乳と卵」川上未映子さん

 

2008年の芥川賞受賞作品です。気になっていたのでパッと手を伸ばしてしまったのですが、果たして芥川賞系の作品が私に合うのかが謎すぎます。

 

 

目次

  • 乳と卵
  • あなたたちの恋愛は瀕死

 

 

あらすじ

*乳と卵*

豊胸手術を考えるホステスの巻子と娘の緑子が、東京に住まう主人公の家を訪れる話。第二次性徴期に差し掛かる緑子が、自分の性の成熟や母を通してみる“性”と対峙します。

壊れかけだった母と娘の関係が、主人公のもとで再構築されようとするお話です。

 

 

*あなたたちの恋愛は瀕死*

百貨店の化粧品コーナーで見たいものだけを見ていた女と、不当な扱いを受けていると感じながらティッシュ配りをしていた男が出会う話。

 

 

感想

*乳と卵*

いや読み方から間違ってたわ。「ちちとたまご」ではなく「ちちとらん」。表紙に読み仮名振ってあるだろうが。

そして毎度の事ながら買う前にあらすじを読め案件ですが、お菓子作り的なお話だと思って購入しました。

全然違うじゃんね。

 

 

ちなみに冒頭の芥川賞系の作品、私に合うの?」問題ですが、結論から述べると、合いませんでした…。知性が足りないもので、恥ずかしながら純文学寄りの本が苦手なんですよねえ。直木賞系の方が好きです(ド正直)

 

他の方の感想を見ると「関西弁で読みにくかった」といったものが目立ちますが、私としては長い時で10行以上に跨り、ずーーーーーっと読点で一文を繋ぐ形式がめちゃめちゃ苦手でした。読みにくすぎる…絶対句点打てるじゃん、ってところも読点でした。なんで?

 

他の作品はそんな書き方をしてなさそうだったので、これは何かしらを意識してわざとそうしているのでしょうか?

主人公やその周囲の人間の知的指数に合わせてそういう書き方をしているのかな?人の知的レベルって喋り方でもイメージできるので、読者にそういうキャラクターを想像してもらうことを意図してやってるのかなあなんて考えました。(真意は知らんけどね)

 

というかね、読子自身あまり賢い人類じゃないので、芥川賞系の味がわからずあまり感想を広げられません。

適当なことばっかり言って的外れ過ぎること書くのも恥ずかしいので、もうこの辺でいいかなって思ってます。おしまい!(唐突な放棄)

 

 

*あなたたちの恋愛は瀕死*

こちらの方が尺が短い割に読み応えがあった気がします。

化粧などで着飾って自分の価値観を高めている女が、デパートの化粧品コーナーのキラキラした照明・鏡ではなく、本屋の照明・鏡で真実を見てしまうお話です。正直私は、本当の自分を受け入れられなかった女の気持ちもわからなくないです…なんたって私も産後にガッツリ老けた。年齢もあるかもしれないけど、妊娠前と全然違う。顔も体型も。

 

デパートの鏡で見る美しい自分しか受け入れられず、バブリーなテンション(?)でティッシュ配りの男に絡んでしまった哀れなこの女。他人事じゃなさすぎて泣きそうになった。

 

一応ティッシュ配りの男の立場とか気持ちも考察できるように書いてあるんだけど、なんかもう女側の情報だけでお腹いっぱい。とても辛い。

老いたくねえなあ。でも老いを受け入れないといけないんだもんなあ。子育てで着飾るどころじゃ無いから、この女以上に現実を突きつけられてます読子も瀕死!

 

おしまい!!!

 

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53冊目:幻夜 東野圭吾さん

こんばんは、読子です。

白夜行」読了からうっかり1ヶ月以上経ってしまいました。(そんなつもりじゃなかったのに…!!!)

やはり子育てしながらの読書時間確保は難しいものです。内容はとても面白かったので、本当はガッと短期間で読み切りたかった!

 

 

 

さて今回はこちら、「白夜行」に続き

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幻夜東野圭吾さん

 

 

白夜行」とは別作品ながらもその“第二部”だと謳われており、実際に「白夜行」主人公の亮司・雪穂の関係や、それぞれのキャラクターが本作を通してよくわかるような内容でした。もちろん白夜行を未読の状態でも、全く別の作品として読めるような内容です。

※ただし白夜行読了後に読んだ方が圧倒的に楽しめます!白夜行を読了している方は可能な限り時間を空けずにどうぞ!

 

 

目次

全12章構成、副題なしです。

白夜行では全編通して周囲の人間の語りだけで物語が進行しましたが、本作では主人公である水原雅也の目線でも語られます。

 

あらすじ

阪神大震災の混乱に乗じて殺人を犯した主人公・水原雅也。上手くいったかと思われたその犯行は、一人の女に目撃されていた。

目撃者である新海美冬は、不思議なことに彼を通報をしたり強請るような事はしない。とはいえゆるく弱みを握られた状態の雅也は、美冬と共に生きることを余儀なくされる。

初めは“弱みを握られた”為に美冬の言いなりだったはずが、気づけば雅也の心は美冬の手中に堕ちていた。妖しくも美しい新海美冬という女は、雅也を利用しどんどん社会的な成功を手にして行く…

 

 

感想

風と共に去りぬ」とかさ、高級ブティック「ホワイトナイト」とかさ、バンバンキーワード出してきてたけどさ?!!!!!!

 

 

ホラァ!!!!やっぱりそうじゃーーーん!!!(大興奮)

白夜行」大ファンからすると、かなりの胸熱設定でした。最高が過ぎる。東野圭吾先生本当にありがとうございましたご馳走様です…

 

 

 

色々堪えきれないので盛大にネタバレします!>📣

白夜行幻夜ともに未読の方はご注意ください!

 

 

 

以下ネタバレが見えにくいように薄文字にします。

 

美冬のやり口がどう見ても白夜行の雪穂ムーブでずっとザワザワしてたのだけれど、同一人物ならそりゃあそうね?幻夜でこんな風に描かれていたら、白夜行のドラマで「雪穂の人間像、解釈の不一致!」となる人も出てくるよなあと合点がいきました。

それにしても美冬を名乗る雪穂、雪穂時代よりも悪質感があって流石にやりすぎやぞって思いました。怖かった…。雪穂をここまでの鬼に変えたのは、雪穂が唯一心の底から信頼を寄せることのできる亮司を失ったことが原因なんじゃないかなあ、なんて思ったりもします。ドラマ派としては、そうであってほしいなあ。

私はドラマ白夜行大好き派なので、「そこに愛はあるんか?」されたら、「仮に雪穂という人間が徹底した悪女であったとしても、亮司のことは本当に好きだったのだと信じている」と答えたいです。

 

雅也に対しては恋心の利用でしたが、亮司に対しては本当に愛があった…はず、です。

 

 

 

ぶあっついけど、二冊とも読んでよかったです。

いい読書タイムを過ごせました。

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52冊目:人を動かす デール・カーネギー

こんにちは、読子です。

 

やってきました予定外ムーブのお時間ですよ。

Q.続けて「幻夜」読むんじゃなかったんか?

A.並行読みしてたのが先に読み終わった

 

…ということで、幻夜より先に

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「人を動かす」デール・カーネギー

についての記事を挟みます。

 

 

私はあまり自己啓発本を読まないのですが(???「精神的に向上心の無いものは馬鹿だ」)、この本は少し特別。

中学生の頃に親が買ってくれた「13歳からの『人を動かす』〜人に好かれる女の子になる8つのルール〜」という本がずっと頭の片隅に残っており、いつか原作を読もうと思っていました。今考えてみると、当時は人の輪の中に入っていくのが苦手で、どちらかといえばいじめられっ子気質だったので親に心配されてたんだろうなあ…

私が当時読んだものは思春期の女の子をターゲットにして原作を再編したもので、著者はデールの娘のドナ・カーネギーです。

※今回ご紹介するのは原作の方。

 

 

概要

人間関係をスムーズに運ぶための基礎的な技法を教えてくれる一冊です。項目ごとにかなり多くの事例を用いて、「こう関わった結果→こうだった」を証明しています。

 

 

目次

  • 改訂にあたって
  • PART1:人を動かす三原則

1.盗人にも五分の理を認める

2.重要感を持たせる

3.人の立場に身を置く

  • PART2:人に好かれる六原則

1.誠実な関心を寄せる

2.笑顔を忘れない

3.名前を覚える

4.聞き手にまわる

5.関心のありかを見抜く

6.心からほめる

  • PART3:人を説得する十二原則

1.議論を避ける

2.誤りを指摘しない

3.誤りを認める

4.穏やかに話す

5.“イエス”と答えられる問題を選ぶ

6.しゃべらせる

7.思いつかせる

8.人の身になる

9.同情を寄せる

10.美しい心情に呼びかける

11.演出を考える

12.対抗意識を刺激する

  • PART4:人を変える九原則

1.まずほめる

2.遠まわしに注意を与える

3.自分の過ちを話す

4.命令をしない

5.顔を潰さない

6.わずかなかとでもほめる

7.期待をかける

8.激励する

9.喜んで協力させる

  • 訳者あとがき

 

 

感想

目次がエッセンスの部分なので、ぶっちゃけ本編読まなくてもいい(言いすぎ)

 

言ってしまえば本編部分は用例集です。お急ぎの方は目次だけ攫えば十分………ですが、やはり本編を読んだ方が具体的にどんな場面で使えるかの想像がしやすいです。

「イエスと言える質問を繰り返してから、本題の質問へ(イエス誘導法)」「自分の失敗を話して心を開いてもらう」「期待をかけることで伸ばす(ピグマリオン効果)」などよく知られた心理学に則った方法が多いところも信頼して読める書籍だと感じます。

 

書いてあることは本当に当たり前のこと。しかしその“当たり前”が意外と出来ていないことに気付かされました。ので、感想冒頭で「読まなくてもいい」などと言いましたが、実際に一読の価値はあります。

 

 

✩13歳からの『人を動かす』について✩

女の子のお子さんが居るのであれば、「13歳からの『人を動かす』」もオススメです。子供でもわかるように用例が学校ベース(但しアメリカンスクール)になっています。

・人にあげられないものは見せない

だとか

・友達の作り方はこうだ

・親や教師との付き合い方は

だとか。

原作の用例は社会ベースなので、子供だとやや想像しにくいところがあると思うんですよね。こちらの作品はスクールベースですし、8つのチャプターにまとまっておりコンパクトな内容です。義務教育レベルのお子さんでも読みやすくなっています。表紙も女の子向けな感じで可愛らしいんですよ。

 

 

さて気を取り直して、次回こそ「幻夜」です!!

 

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51冊目:白夜行 東野圭吾さん

こんばんは、読子です。

食欲の秋ですね。みなさん秋をエンジョイしていますか?私はですね、

エンジョイしすぎて体重が3kg増えましたよ…(仏スマイル)

妊娠中に10kg増えて5kgしか減ってないってのに…

 

ということは?

産前からトータル8kg増えてますのよ?!

えっコワァ…(他人事)

 

食欲の秋をしながら読書の秋してるので、一向に体重が減りません。どうしたもんかね。

とりあえずダイエットは明日から(一生始まらないやつ)

 

 

 

さて今回はこちら

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白夜行東野圭吾さん

 

ドラマ版が大好きすぎて5周くらいしてます。原作は京極夏彦さん的な厚さにビビって手を出しておらず、今回が初読です。

 

ドラマ情報

先に私の大好きなドラマの情報から。

 

2006年に放送され、かなり賛否両論だったドラマ版白夜行。その賛否の原因は雪穂と亮司の心情描写が多かったからだと言われています(一説によるとね)。

原作では雪穂と亮司は自分のためなら周囲の犠牲も厭わない、いわゆる「血も涙もない悪」として描かれています。そのため、二人に対するイメージの解釈の不一致にモヤッた方はドラマ否定派に。一方ヒューマンドラマ大好きで、心情描写がある事で「雪穂と亮司がこんなことを考えながら生きていたのか」を楽しめた人がドラマ肯定派になったのではないかと思います。ちなみに読子はヒューマンドラマ大好きなので「ドラマ版最高!!!」の人です。

 

原作・ドラマ共に雪穂と亮司が「風と共に去りぬ」を図書館で借りているという場面が出てきて、二人が出会った場所は「図書館」とされているのですが、ドラマ版のみに登場する図書館司書さんがとても味のある役なんですよ…!脚本最高すぎる(司書さん役:余貴美子さん)そして田中圭さんってこんな昔からテレビ出てたの?!!!!という密かな驚きもありました。

 

ドラマ版は時系列をひっくり返して、結末のところから見せてくるのですが、しっかり面白いのが本当にすごいです。主演のお二人、綾瀬はるかさんと山田孝之さんの演技にも圧倒されますので、ご興味のある方はぜひ…!

 

あらすじ

始まりは一つの殺人事件だった。質屋「きりはら」の主人・桐原洋介が殺された事件を発端に、一見関連性の無さそうな事件が立て続けに起こる。

不可解なことに、その事件の側には常に被害者の息子である桐原亮司・被疑者の娘である西本(唐澤)雪穂の影があった。これは、刑事・笹垣が十九年という時間をかけて二人の足跡を追うお話。

 

 

もくじ

全13章の構成。

一話たりとも雪穂・亮司視点のエピソードはありません。刑事の笹垣をはじめ、雪穂の友人や亮司のクラスメイトなど、周囲の人間の目線により、それぞれの人となりや行動が語られて行きます。

 

 

感想

っは〜!そういう感じかあ!

どっち派とかではないのですが、やっぱりドラマを視聴してから原作を読んでよかったな〜と思いました。

ドラマ版とは違い、原作では二人が悪い事をしているシーンは明確に描かれませんし心情描写もありません。なので、事件が起きて「謎…(モヤァ」みたいなムードが出ている時に(それ、亮司の仕業ッスヨ…ヘヘッ)的な知った顔をしてほくそ笑む事ができて楽しかったです(笑)

 

原作とドラマどちらも好きだけど、森下さんの脚本と主演二人が良過ぎるのと、音楽の河本伸さんが良すぎるので(つまり全部良い)、原作読んだ上でドラマ版の出来は桁違いだなって思いました。

続けて「幻夜」も読みます。楽しみすぎる〜😭✨

 

こっちは私の大好きなドラマ版

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ネタバレ状態で読んでなお面白かった原作

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50冊目:強運の持ち主 瀬尾まいこさん

おはようございます、読子です。

授乳間隔が延びました…!!やったー

少しずつ私の寝る時間が取れてきて、てんやわんやの子育てにも光…(だといいな)

 

 

さて、産後は穏やかで低刺激な本が続きます。切りのいい50冊目は「そして、バトンは渡された」が映画化されたこの方の本。

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「強運の持ち主」瀬尾まいこさん

 

本棚を眺めている内は「そして、バトンは渡された」を読みたいと思っていたはずなのに、気づけば別の本を手に取っていました。まあ映画作品を見てるから、ちょっと優先度下がっちゃうのはあるよね?(誰に確認してるの)

 

 

目次

  • ニベア
  • ファミリーセンター
  • おしまい予言
  • 強運の持ち主

 

 

あらすじ

脱OLをした元営業職の主人公・吉田幸子は、そのトークスキルを活かし占い師に転身。占い師「ルイーズ吉田」として、悩める人のあらゆる相談に乗ります。

「父の母のどちらを選べば良いか」と訪れる少年、占いが外れても何度となくルイーズの元を訪れる女子高生、物事の“おしまい”が見えるという青年、真面目が過ぎるアシスタントの竹子さん…ルイーズと様々な人との出会いが、温かい気持ちにさせてくれる作品です。

 

 

各話詳細なあらすじと感想

ニベア

小学生という幼さにも拘らず、何故か羽振りのいい男の子が繰り返し来店します。それも「どっちのスーパーがいい?」「学校でどっちの係に立候補すべき?」など、一見たいしたことのない相談に毎回3000円も支払うのです。そして、ルイーズを真に悩ませた少年の相談こそが、あらすじで前述した「お父さんとお母さん、どちらを選べばいい?」というもの。

少年の未来を大きく左右しかねない相談に、インチキ占い師(笑)ながらもルイーズは真摯に向き合います。

 

親の愛情はもちろん、子から親への愛情も感じられるストーリー。

不器用な親子に思わず笑みがこぼれます。

人間は香りと記憶を結びつけるといいますし、誰にでも“懐かしい”と感じる香りはあるものですよね。ニベアの優しい香りに包まれた、親子の温かいお話でした。

 


*ファミリーセンター*

イオンとかジャスコとか、そういった複合型のショッピングセンターにまつわるお話。

今回の対象は女子高生です。「特定の男性と距離を縮めたい」という相談を持ち込んだ女子高生は、ルイーズのインチキ占いがいまひとつ当たらないにも拘らず、何故か「今回もダメでした…次はどうすれば?」と諦めることなく占いに訪れますルイーズは女子高生と男性を取り持つことができるのでしょうか?

 

ディズニーやUSJのようなテーマパークに行く時ほど心踊る訳ではないけれど、やはり複合型商業施設はそれなりにワクワク感がありますし、それ以上にホッとするような安心感がありますよね。行き慣れた場所でさえ、誰かと一緒に行くと無駄に色々なコーナーをうろうろ見て回ってしまう…そんな不思議な吸引力のあるパワースポット(?)のお話です。

 


*おしまい予言*

「俺、物事の“おしまい”が見えるんや」と不思議なことを言う青年は、ある日突然ルイーズの元に現れました。彼は「アシスタントにさせて欲しい」と頼み込みますが、ルイーズは全くその気を見せません。しかし彼はそんなルイーズの態度も意に介さず、翌日からアシスタントとして半ば強引にお店で仕事を始めます。そんな不思議な青年からルイーズが学び得たものとは…?

 

みなさんは物事の“おしまい”を知りたいですか?私は超絶ビビりのチキン野郎なので、できれば物事の結末は教えないで貰えた方がいいなあ、なんて思ってしまったりします(とか言いながら映画とか小説はネタバレ見たりする)

一口に「おしまい」と言ってしまうとマイナスなイメージが湧きがちですが、「おしまい」は「おしまい」でも「悪いことのおしまい」の可能性もありますからね。一概に“おしまい”を悲観することは無いはずなのですが、字面からネガティブな想像をしてしまうのが人間の心理ってもんです。“おしまい”にもポジティブなイメージを持って生きられるようになりたいものですね。

 


*強運の持ち主*

ルイーズの恋人・通彦のお仕事にまつわるお話。

一人で店を構え続けたルイーズの元に、ついに一人のアシスタントが!(※“おしまい”の見える青年ではなく、竹子さんという子持ちの女性です)

新しい仕事仲間と心機一転頑張っていきたいところに、思わぬ出来事が転がり込みます。

それは「恋人である通彦が勤める市役所が、近隣の市区町村のそれと合併する」というお話。合併に伴い、多すぎる役所の職員を削減していくのだといいます。ちょうどその頃、通彦は知人の始めた新規事業に勧誘をされていました。新しい仕事と、役所の仕事で揺れる通彦。ルイーズとしても結婚を視野に入れている通彦には安定を取って欲しいと思っており、通彦と共にああでもない、こうでもない、と頭を悩ませます。

急に不安定さを帯びた二人の生活は、アシスタントの竹子さんへの新人指導を通して、どのような形へと収まるのでしょうか…?

 

恋人の転職な〜〜〜!!!!不安だよなあ…(何者目線?)

それも“結婚”という大きめのライフイベントを控えたタイミングで…。仕事をするのは本人なので、最大限尊重されるべきは本人の希望なのはわかっているのだけれど、「この後どうなるの〜?!!」と心配になるルイーズの気持ちもわかるんですよね。しかも安定の代名詞「公務員」から新規発足の全然別の事業に鞍替えって…心配すぎる!!

ルイーズと通彦、なんだかんだいい感じのカップルなので、丸く収まってくれ〜と願いながら読みました。

でも大丈夫、通彦は姓名判断・占星術・手相どの角度から見ても「強運の持ち主」ですから…!!!

 

 

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インチキ占いでも悩める人を救ったルイーズ。こんなインチキ占いなら悪くないかな。

 

次はボリューム感が爆発

東野圭吾さんの「白夜行」です!

49冊目:約束 石田衣良さん

こんばんは、読子です。

今回も初挑戦の作家さんです。あまりにも有名な作家さんゆえ何度となく読んでみたいとは思っていたのですが、まさかこの歳になるまで未読で引っ張ることになるとは…

 

と、いうことで。

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「約束」石田衣良さん

全七話の短編集です。

 

 

目次

  • 約束
  • 青いエグジット
  • 天国のベル
  • 冬のライダー
  • 夕陽へと続く道
  • ひとり桜
  • ハートストーン

 

 

各話あらすじ

*約束*

主人公の少年が、「君のようになりたい」と憧れを抱いていた親友を亡くすお話。親友と交わした優しい約束は、残された主人公を勇気づけました。

 

*青いエグジット*

引きこもり少年の人生が、一枚の青いポスターをきっかけに動き始めるお話。身体の不自由な彼の人生に差した希望の光は、海底に差し込む柔らかな日光のようなそれでした。


*天国のベル*

シングルマザーの母と、ストレスで耳が聞こえなくなった息子のお話。彼の耳には親の声すら届いていないのに、なぜか電話のベルだけは捉えることができます。不思議な電話のベルは、傷ついた幼い少年に一体何を伝えるのでしょうか?


*冬のライダー*

モトクロスに熱を注ぐ青年と、さりげなく指導をしてくれる訳ありっぽい女性のお話。そっけなくも、愛ある指導のその訳は…?


*夕陽へと続く道*

不登校中学生と不良品回収のおっちゃんが仲良くなるお話。中学生との賭けに挑むおっちゃんの姿には、きっと誰もが胸を打たれます。


*ひとり桜*

一人の男の人生を支えた【何も特別ではない桜の木】を巡り、男の妻と一人の写真家が出会います。

桜が引き合わせた二人の人生は、どのように交わるのでしょうか?


*ハートストーン*

幸せな家庭に突如訪れた不幸。それは小学生の息子を襲った病でした。不安に揺らぐ家族の中で、命の温かさを宿したバトンは人から人へと渡ってゆきます。そしてそれは、いずれ彼の元へ…

 

 

感想

全編通して優しいお話でした。

どのお話も、登場人物たちがその後どうなったのかは明記されずに終わっています。しかし、その後がわからないなりに未来に希望を持たせる終わり方をしてくれるのが本作の短編。

「こんな終わり方をしたんだ。きっといい方に転がっているに違いない」と、読者も安心して物語の外側で迎えるであろう結末を想像することができます。

 

七作品ある内で、特に私が好きだったお話が「夕陽へと続く道」。不良品回収のおっちゃんが全身全霊をかけて奮闘します。看護師さん、リハビリを頑張れる患者さん大好きよ。こちらも一生懸命お手伝いしたいと思っちゃう…!

夕陽が差し込む廊下が美しいゴールに見える場面も、凄く気持ちがわかるなあと思いました。夜勤看護師も窓から差し込む朝日を見て「この地獄のような夜勤もあともう少しで終わる…」と美しい朝日にゴールを感じるものです(それは別)

 

石田衣良さんは興味こそあれ、正直「いくらか読みやすい村上春樹さんなんじゃないか」という思い込みが先行しておりまして…だから興味があるのになかなか手が伸びなかったんですよね(何故そんなイメージがあったのかはわからない)

ですが実際手に取ってみると、作品は優しいしっとり感を持ちつつ、村上春樹さん的な迂遠さがないのでとても読みやすかったです(本当になんでそんなイメージだったのかわからない)

※迂遠的な言い回しが村上春樹さんの個性であり魅力であることは百も承知です…!私の知性が乏しいばかりに合わないだけです!!!ファンの方すみません!!!!

 

これを機にもっと他の作品も読んでみたいと思いました!今まで読まないで来てしまったの、勿体無い〜〜〜!

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