こんばんは、読子です。
ようやくです…ようやく実施できました…!
第2回
本の虫たちの読書会〜!!!!
こちらは
- 「郵便局のおじさんは9時40分ごろやってくる」のニードル様
- 「本好きの秘密基地」のはむちゃん様
のお二人と、3人での読書会です。
私のつわりと入院、そして産後のドタバタで長らく開催をストップさせていただいておりました。
ニードルさん、はむちゃんさん、お待たせしてしまって大変申し訳ありません。また輪の中に混ぜていただけて本当に嬉しいです!ありがとうございます😭✨
さて早速ですが、僭越ながら今回は私が選書をさせていただきました。
今回の課題(?)図書は
「氷菓」や「ボトルネック」などの作者さんです。とりわけ氷菓は知名度が高く、アニメ化までされていましたね。千反田えるちゃんの「私、気になります!」も一躍有名な台詞となりました。最近では「このミス」「週刊文春」「ミステリが読みたい!」のミステリー賞三冠作品の「可燃物」も本屋さんで平積みになっていますね。
今回はその作者、米澤穂信さんの❁百合系お耽美ミステリー❁です。
そう…皆様ご存知の通り(存じ上げない)、読子はお耽美系百合が大好物。もうね、期待しかない。それでは早速読み始めましょう、不穏なお耽美ミステリー小説…!(バキバキの目)
目次
- 身内に不幸がありまして
- 北の館の罪人
- 山荘秘聞
- 玉野五十鈴の誉れ
- 儚い羊たちの晩餐
全5話です。各話独立していますが、全て読書サークル「バベルの会」に参加するお嬢様の周りで起きる事件として、ゆるく繋がっております。
各話あらすじ
*身内に不幸がありまして*
村里夕日は、丹山家の吹子お嬢様に仕える使用人。幼い頃からお嬢様と長い時間を共にし、読んだ本の感想や秘密をも共有しておりました。
そんな二人にも、ついに離れて暮らさねばならぬ時がやってきます。お嬢様が大学生になり、家を出たことに寂しさを隠しきれない夕日。対して一人暮らしを始めた吹子お嬢様は、読書サークル“バベルの会”の活動にご執心です。夏休みにサークルで行われる予定の、初めての泊まりがけ旅行にも胸を躍らせていたお嬢様。しかし、丹山家で起きた一つの事件によりサークルの旅行に参加できなくなってしまいます。そして事件は、何故か毎年夏休みの頃に起こり…
*北の館の罪人*
片親の母を亡った主人公・内名あまりは、母が今際の際に残した「六綱(資産家の父)の屋敷に行きなさい」という命に従い六綱家に入ります。あまりが六綱家に身を置く代わりに、腹違いの兄弟から提示された条件は「北の館に住み込み、一人の男の世話係をしろ」と言ったもの。
北の館と呼ばれる建物は厚い鉄の門扉で閉じられており、豪奢な座敷牢のような造り。そんな建物に幽閉されている、世話の相手である早太郎は変わり者で…
*山荘秘聞*
山中の外れにある山荘“飛鶏館”の管理を任された屋島守子のお話。飛鶏館は立派な別荘ながら、守子が管理者を担って以降その役割を果たしたことは一度もありません。こんなにも美しい建物で、こんなにも手をかけているのに…と現状に不満の守子。
そんな飛鶏館に、ある日初めての客人が現れます。雪山で遭難し、滑落して怪我をしている越智という若い男性。守子は越智を屋敷に運び入れ、怪我の手当てをします。待ち侘びた来客に、守子は意気揚々と世話を焼くのですが…
*玉野五十鈴の誉れ*
小栗家の実質的な当主として君臨するお祖母様に、飼われるようにして暮らす主人公・純香のお話。お祖母様は男児の世継ぎを欲しがるものの、純香の母は男の子に恵まれませんでした。ひとり娘の純香は、お祖母様の厳しい監視のもと次期当主としての重荷を背負いながら、全てを諦めるようにして日々を過ごします。
友達さえ選別され「下賤の者と付き合うな」と友人を遠ざけられる純香。そんな孤独なお嬢様の十五歳の誕生日に、お祖母様からある贈り物が与えられます。「お前もそろそろ人を使う事を覚えなさい」と。そうして純香の元にやって来たのが玉野五十鈴でした。
*儚い羊たちの晩餐*
かつてバベルの会が活動場所としていたサンルームを訪れる一人の女学生。今や廃墟となったその場に残された、元メンバー・大寺鞠絵の日記を彼女が読んでいくお話。
ある時鞠絵は、会費の納入が間に合わずに会員の座を追われてしまいます。納入が遅れたのは父の責任であるにも拘らず、「他の資産家とのコネクションを作るために」と何としてでもサークルに戻るよう鞠絵に無理を言う浪費家の父。しかしバベルの会の会長は、鞠絵が会員に戻ることを許さず…
各話感想
*身内に不幸がありまして*
一話目から“お嬢様と姉妹のように過ごしてきたお付きの使用人”という王道カップリングで、胸熱すぎました。(何)
外の世界に楽しみを見出したお嬢様に対して、「寂しい…」ってしょんぼりしちゃう夕日ちゃんがとても可愛い。ミステリーとしてもよかったけれど、それ以上に「いい百合だった」の感想が先行します。(実りませんでしたが。それも含めて“良い”…)
*北の館の罪人*
うおおおおい!!
ラストが!ラストが…!!!!
早太郎の謎めいたお買い物の正体がわかるところから、なんだか温かい気持ちになってしまいました。…が、やはり最後まで気が抜けませんね。ラストの落差がエグいです…
この回では読書サークル“バベルの会”自体は大きく絡みません。六綱家の身内がメンバーの一人で…という関わり方でした。今のところ、バベルの会自体が一体どんなものなのかははっきりしていません。
*山荘秘聞*
別荘の描写がとても丁寧で、読んでいると脳内にとても美しい建物が浮かんできます。実際に見た訳ではないのに、細部まで想像が行き届く描かれ方でした。
さてこのお話では、以前守子が仕えていた家のお嬢様がバベルの会のメンバー。読書会に参加するところに、実際に主人公の守子が立ち会っています。どんどんバベルの会に近づいて行っていますね。気品あるお嬢様方の集う楽しげな会の思い出に浸りつつ、主人公が飛鶏館で好き放題します。
もうね、サイコパス。仕事へのプライドが大暴走。経験やスキルを活かす方向性が圧倒的に間違っている。どうして。
*玉野五十鈴の誉れ*
五作品の中でいちばんすきです。ラストは泣きながら読みました。
お祖母様嫌すぎるし、リアルにこういう価値観の人がたくさん居た時代があるということに改めて恐ろしさを感じます。今こんなの居たら本当に時代錯誤過ぎるやで…
孤独な純香お嬢様と従順な五十鈴の関係性がとてもよかったです。イカれたお祖母様のもとで全てを諦めるようにして暮らしていた純香。その冷え切った心に、陽だまりのような温かい光を落とす五十鈴に純香が強く惹かれた理由もよくわかります。できればもう一度、二人で友達として笑い合って欲しかったんだけどなあ。
ちなみに今回のバベルの会との関わりは、純香本人の在籍による直接的なもの。楽しみにしていた蓼沼での合宿には参加できませんでしたが…
*儚い羊たちの晩餐*
最終話の「儚い羊たちの晩餐」はラストを飾るに相応しい内容だと思いました。鞠絵お嬢様、わかっててサークルの人間を皆殺しにするような注文を厨娘に言いつけたの本当にこわ…😇仕返しのレベルが桁違いなんですよねえ。
そしてついにこのお話で、読書サークル“バベルの会”がお嬢様達にとってどんな存在であるかが明かされます。バベルの会の正体がわかると、なるほど…タイトルが回収された、という気持ちになります。
「身内に不幸がありまして」の吹子お嬢様は参加できてないし、「玉野五十鈴の誉れ」の純香お嬢様もサークルを辞めてるから、この二人は難を逃れられたのかな…?感じのいいお嬢さんたちだったから、この子らは助かってよかったです。
穂信さんこんなエグいストーリー書く人だっけって思ったけど(私の中ではスクールミステリー氷菓の印象が強い)、よく考えたらボトルネックもあれイヤミスだわね。
ボトルネックもいつか再読したいです!
おしまい!