読子の本棚

読んだ本をここの本棚にしまっておきます。

49冊目:約束 石田衣良さん

こんばんは、読子です。

今回も初挑戦の作家さんです。あまりにも有名な作家さんゆえ何度となく読んでみたいとは思っていたのですが、まさかこの歳になるまで未読で引っ張ることになるとは…

 

と、いうことで。

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「約束」石田衣良さん

全七話の短編集です。

 

 

目次

  • 約束
  • 青いエグジット
  • 天国のベル
  • 冬のライダー
  • 夕陽へと続く道
  • ひとり桜
  • ハートストーン

 

 

各話あらすじ

*約束*

主人公の少年が、「君のようになりたい」と憧れを抱いていた親友を亡くすお話。親友と交わした優しい約束は、残された主人公を勇気づけました。

 

*青いエグジット*

引きこもり少年の人生が、一枚の青いポスターをきっかけに動き始めるお話。身体の不自由な彼の人生に差した希望の光は、海底に差し込む柔らかな日光のようなそれでした。


*天国のベル*

シングルマザーの母と、ストレスで耳が聞こえなくなった息子のお話。彼の耳には親の声すら届いていないのに、なぜか電話のベルだけは捉えることができます。不思議な電話のベルは、傷ついた幼い少年に一体何を伝えるのでしょうか?


*冬のライダー*

モトクロスに熱を注ぐ青年と、さりげなく指導をしてくれる訳ありっぽい女性のお話。そっけなくも、愛ある指導のその訳は…?


*夕陽へと続く道*

不登校中学生と不良品回収のおっちゃんが仲良くなるお話。中学生との賭けに挑むおっちゃんの姿には、きっと誰もが胸を打たれます。


*ひとり桜*

一人の男の人生を支えた【何も特別ではない桜の木】を巡り、男の妻と一人の写真家が出会います。

桜が引き合わせた二人の人生は、どのように交わるのでしょうか?


*ハートストーン*

幸せな家庭に突如訪れた不幸。それは小学生の息子を襲った病でした。不安に揺らぐ家族の中で、命の温かさを宿したバトンは人から人へと渡ってゆきます。そしてそれは、いずれ彼の元へ…

 

 

感想

全編通して優しいお話でした。

どのお話も、登場人物たちがその後どうなったのかは明記されずに終わっています。しかし、その後がわからないなりに未来に希望を持たせる終わり方をしてくれるのが本作の短編。

「こんな終わり方をしたんだ。きっといい方に転がっているに違いない」と、読者も安心して物語の外側で迎えるであろう結末を想像することができます。

 

七作品ある内で、特に私が好きだったお話が「夕陽へと続く道」。不良品回収のおっちゃんが全身全霊をかけて奮闘します。看護師さん、リハビリを頑張れる患者さん大好きよ。こちらも一生懸命お手伝いしたいと思っちゃう…!

夕陽が差し込む廊下が美しいゴールに見える場面も、凄く気持ちがわかるなあと思いました。夜勤看護師も窓から差し込む朝日を見て「この地獄のような夜勤もあともう少しで終わる…」と美しい朝日にゴールを感じるものです(それは別)

 

石田衣良さんは興味こそあれ、正直「いくらか読みやすい村上春樹さんなんじゃないか」という思い込みが先行しておりまして…だから興味があるのになかなか手が伸びなかったんですよね(何故そんなイメージがあったのかはわからない)

ですが実際手に取ってみると、作品は優しいしっとり感を持ちつつ、村上春樹さん的な迂遠さがないのでとても読みやすかったです(本当になんでそんなイメージだったのかわからない)

※迂遠的な言い回しが村上春樹さんの個性であり魅力であることは百も承知です…!私の知性が乏しいばかりに合わないだけです!!!ファンの方すみません!!!!

 

これを機にもっと他の作品も読んでみたいと思いました!今まで読まないで来てしまったの、勿体無い〜〜〜!

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