読子の本棚

読んだ本をここの本棚にしまっておきます。

41冊目:傲慢と善良 辻村深月さん

こんばんは、読子です。

 

少し(いや結構)前に、ありとあらゆる読書垢の方々がこぞって読んでいた本についに手を出しました。

 

 

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「傲慢と善良」辻村深月さん

 

正直もっと早く読みたかった。なぜいつも流行してから一歩半くらい遅れて読んでしまうのか。読んだらわかる皆さんの盛り上がりよう。私もかなりの良作だと思いました。皆さんと同じタイミングでキャッキャしたかったよ…

※乗り遅れたので、今からここで一人寂しくキャッキャします

 

 

目次

  • 第一部
  • 第二部
  • エピローグ

 

二部構成とエピローグです。

第一部では男性主人公の架(かける)の目線で物語が語られ、第二部では女性主人公の真実(まみ)目線で、事件の裏で起きていた真実(しんじつ)が語られていきます。

 

 

あらすじ

交際期間が一年半程になる架と真実は、婚活によって出会ったカップルです。

架はある日、恋人の真実から「ストーカー被害にあっているかもしれない。最近身の回りでおかしなことが起きている気がする。」と打ち明けられます。その後ストーカーは不在の真実宅へ侵入。この出来事をきっかけに架はついにプロポーズに踏み切り、二人の関係は恋人から婚約者に変わります。

本来ならば幸せいっぱいの時期のはずですが、不穏な疑惑はとうとう事件へと発展。何の前触れもなかったその日を境に、真実が架の前から忽然と姿を消してしまったのです。以前からストーカー被害にあっていたものの、間も無く結婚をするということもあり警察には被害相談をしていませんでした。しかし遂に事は起きてしまいました。

結婚式を控えた真実は一体どこへ?真実とストーカーとの関係は?

ミステリーのように進行する恋愛(婚活)小説の中で、様々な人の“傲慢さ”が描かれます。

 

 

感想

ネタバレになるので詳細は述べられませんが、とても好みな終わり方でした!お話の流れから、良い結末は無いだろうな…と思っていましたが、どうにかバッドエンドは回避。ラストには救いがありました。

 

作中では登場する人々がありとあらゆるタイプの“傲慢さ”を見せてくるので、物語の至る所で過去の自分の言動がチラつき横っ面を引っ叩かれたような気持ちになります。

恐らく誰が読んでも、どこかしらで心当たりのある己の嫌な部分を見せつけられるんですよ。

この《私にも心当たりがある》感からは誰も逃れられません。

なので、誰に見られているわけでもないのに、何となく気まずい表情をしながら500ページ弱の本を読むのです。先に盛り上がってた皆さんも多分こんな顔しながら読んでたんじゃないかなあ…

本読んで一人で気まずい感じになるってそうそう無いで。何だこの感覚。

 

 

500ページもあると印象の強かった場面は数多く存在するのですが、その中でも特に記憶に強く残ったエピソードは、

婚活における“ピンと来ない”という感覚について。

この感覚は多くの婚活プレイヤーに共通する悩みなのではないでしょうか…?正体はよくわからないけれど多くの人が陥りがちなこの感覚を、結婚相談所のおばあさまが本書内で暴きます。

「ピンとこない、の正体は、その人が、自分につけている値段です」

「値段、という言い方が悪ければ、点数と言い換えてもいいかもしれません。(中略)ーー私の価値はそんなに低くない。もっと高い相手でなければ、私の値段とは釣り合わない

これは…これは本質過ぎる…

 

「ピンと来ない」という漠然とした感情の根底にまさかそんな気持ちがあるだなんて、きっと誰も気づきたく無いはずです。顔を背けて見ないようにそっと蓋をしている部分を、このおばあさんはとんでもねえ解像度で突きつけてきます。

 

もう既にこの段階で心めちゃ痛ですが、結婚相談所のおばあさまはこの後にも容赦なく続けます。

「ささやかな幸せを望むだけ、と言いながら、皆さん、ご自分につけていらっしゃる値段は相当お高いですよ。ピンとくる、こないの感覚は、相手を鏡のようにして見る、皆さんご自身の自己評価額なんです」

ちょっと…、衛生兵…!衛生兵!!!!

広範囲被弾!しにんがでる!もうやめて!!

 

更にこの後にも「自己評価は低いのに自己愛は高い」等、殺傷能力すら持つような言葉が出てきます。…が、そのあたりは本編にてご覧ください。もう既にこの記事内は辺り一面焼け野原なので、これ以上のものはここで投下できません…

 

 

要するに、婚活で色々な人と出会っては“ピンとこない”を何十人と繰り返すのって

自己評価の物差しの上で「この人も私には釣り合わなかった」と無意識の間に相手を評価してる

という事。理想はそんなに高く無い、多くは望まない、という方なのに何故か成婚に至らないのは、ここに気付けていないからなのですね…

婚活ってなんてハード…

たくさんの人との出会いを繰り返す婚活に疲れてしまうのは、きっと無意識に相手を評価しているだけではなくて、気づかないうちに相手の評価も受け取ってしまっているからなんでしょうね

 

 

また、もう一つ印象強かったエピソードが架の女友達たちがヤイヤイいう場面です。

この子らがね、本当に要らんこと言うんですよ。

頼まれてもないのに勝手に架の恋人を評価したり、二人の関係に口出ししたりして。特に親友だというその女は、自分自身は別の男と結婚しているのに「架には釣り合わない女だ」というのを明確に真実にぶつけてくるんですよね。

こんなのKING of 余計なお世話ですわ。

あんたが結婚する相手じゃないだろ。素人は黙っとれ(TOKIO城島リーダーの画像)

彼氏の女友達が1番の敵”という全国各地で起こりがちというか、女性(主語デカ)の共通認識というか、そういう《どっかで聞いたことある》みたいなののエッセンスを具現化したような女の存在には最高に嫌な気分になりました^^ω

 

でも架はそんな女たちに流されない男で安心しました。友達の干渉に対して毅然とした態度が取れるの、とても格好がいい男だと思います。

「付き合いの長い友達の意見」と流されるのではなく、「二人のことだから」と分けて考えられる男性is素敵。

 

 

…タイトルが「傲慢と善良」なのに、なんだか善良さに欠ける傲慢さばっかり拾った記事になってしまいました。というか記事自体から溢れ出る傲慢さ。読子、性格出てるぞ気をつけろ。

私はもっとこんな読了感だったよ!というご感想がございましたら是非コメントをお願い致します!

 

でもいいラストだった!

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ボリュームしっかり目の本が続いたので、次は薄めの本にします。それではまた!

40冊目:彼女は頭が悪いから 姫野カオルコさん

 

こんばんは、読子です。

最高に気分が悪いです😇😇😇(体調的な方ではなくて)

入院中のイベントでちょっとブルーになっているのもありましたが、それに拍車をかけたのはこれ。

 

おすすめしないって言われたのに読んでしまったのよ…

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「彼女は頭が悪いから」姫野カオルコさん

 

 

Twitterの相互さんの読了ツイを見て興味を持ってしまいました。ボロクソ言われてるのを見て「読みて〜!!」のスイッチが入り、それを伝えたらツイ主さんにめっちゃ止められました。

過去読子イヤミスが好きなので!大丈夫、辛ければ辛いほどいい!!」そして意気揚々と手に取った本書。

 

 

 

しかし読み切った今の私は過去の己に言いたい。

人の忠告はきちんと聞くものですよおばかさん…

 

想像のうん倍辛かったです。

中盤以降はちょびちょびしかページが進まなかった。入院患者特権で読む時間だけはなんぼでもあったのに、読む気が起きなくて本を手に取る頻度すら少なくなりました。(読み進めない日もあった)

 

第32回柴田錬三郎賞を受賞し、広汎な読者を魅了しうる作品として評されたそんな本書「彼女は頭が悪いから」は、果たしてどのような本なのでしょうか。

 

 

目次

  • プロローグ
  • 第一章
  • 第二章
  • 第三章
  • 第四章
  • エピローグ

 

 

あらすじ

東大生5人による女子大生強制わいせつ事件をモデルにした、実話ベースの物語。

主人公のつばさ・美咲が各々の高校生時代を過ごし、大学生及び大学院生になってから出会い、そして事件に発展するまでの胸糞悪いエピソードが綴られています。割とどこを切り抜いても上質な気分の悪さ()を味わえる作品です。

事件自体に触れるのは第四章のみ。それ以外はそこに至るまで、双方(及び他4人の東大生)がどのような家庭環境でどのような価値観を育んできたかが語られます。

 

 

感想

☟以下結構ネタバレがあるのでご注意を!☟

 

 

 

 

 

 

 

 

いい大人が揃いも揃って

「えっ…?なんで逮捕…?」

みたいなムードになってるのが本当に気持ち悪いです。イミワカンナイ!みたいな感じ出さないで。読者はあなた達のその“芯からの悪気のなさ”が意味わかんないって思ってんだから。

悪いことをしたという自覚が心の底から無くて寧ろ勘違い女にこれまでの華々しい人生を台無しにされた被害者だとすら感じている彼らには鳥肌が立ちます。

 

『性行為に至るのも、ポルノ画像(動画)の撮影も、女の子主導であってこちらからは何も促してはいない。』と主張するものの、“東大生”というブランドをチラつかせれば女の方から【東大生とお近づきになりたい】という下心で勝手に服を脱ぐと主張しているあたり普通に狡猾さはあるし、メンバー一人の逮捕をきっかけにネットで販売していた写真や動画を焦って消すあたり悪事を働いているという認識はゼロでは無かったのでは…?どうしてそこの判断がつく人間が、『お遊び』と称し美咲に

・バカな女に罰ゲームと称してお酒を強引に煽る

・服を無理やり脱がせる

・胸を揉む

・ポムポムプリンのチャームポイントを割り箸でつつく(正確に書いたら私のアカウントが消し飛ぶ)

・食べて熱いと感じたカップ麺を裸の胸元に落とす

・叩く、蹴る

こんな行いができるのでしょうか?それで「なんで警察に駆け込まれたのかわかんない。この程度のことで…?」と思えてしまう素晴らしい思考回路。理解に苦しみます。東大に入る頭はあるんよなこの人ら?

 

そして自分らが捕まる前に

「勘違い女」「部屋について行った女が悪いんじゃね?」「女のせいで人生壊されてて東大生の方が可哀想」「わかっててついて行ったくせに被害者面乙」

などと、ありとあらゆる掲示板で美咲批判の自演書き込みをして、世間から自分たちへの同情ムードを煽るのがまたコスいというか悪質というか。

もちろんこれに流されて

「中学二年女です。私も女側が悪いと思います。男の家にホイホイついていくバカな女に人生壊されるなんてバカバカしい。詰めが甘かったんです。トイレの便器にでも頭突っこんでウンコくわせて、訴える気すら失くすくらい徹底的にボロボロにしてやるべきだったんですよ。(意訳)」

というような存在も出てきて、ラストスパートはえずきながら読む(ストレス耐性弱者)みたいな惨事でした。どうやって生きてきたらそんな酷いこと思いつくんかな?

というか、湊かなえさんの「夜行観覧車」の時にも言及したんだけど背景を知らん人らによるネット上の断罪は一体なんなん???

 

 

美咲ちゃんは本当に恋心だけだったのに。

“東大生”であるつばさを好きになった訳ではなく、好きになったつばさが偶然“東大生”だっただけのに…つばさたちにとって“東大生”という言葉がもたらす歪な自信は、ただの好意ですら「下心からなのだ」という解釈に捻じ曲げてしまっていました。

 

 

 

500ページにもわたって延々と『大学生のきしょいストーリー』が綴られている作品。

キサラづ@読書 さん

 

とツイ主さんも仰っていたのですが、その言葉をそのまま拝借しまして、ほんっっっっとうに

大学生のきっしょいストーリー

でした。“東大生”というブランドを手にしたことで肥大化した自尊心、大学生特有のイキリムーブ。見るに耐えなかったです。常に考え方のベースが【上と下】【東大とバカな大学】なんですよね。全能感凄いんだろうなあ。

 

 

本当にお勧めしないと言われたのに、なぜ読んでしまったのか…

最後の最後までこの人らは全然反省していなかったし(そもそも悪い事をしたという認識があまりに希薄)、それぞれのママ達も「なんでうちの子らが被害者に?」みたいなマインドだったので救いはありません。

ちなみに現実の事件は2016年のものなのですが、私は詳細に事を知らなかったのできちんとググりました。親御さん達の華々しい経歴パワー(権力!!!)で結構揉み消し方向の力がかかった結果、お咎めも少なかったようです。現実でもこいつら反省してねーのかって携帯を壁に投げつけそうになりました(不穏患者)。

 

ままならねーなあ。(今回ずっとお口が悪い)

元気が出る本読みたいなあ。でもそもそも私の積読が陰気だから、夫が持ってきてくれた本たちみんな鬱々としてるな…ちょっとしたら本読む元気、出るかなあ。

 

私も気持ちが入り過ぎる人にはあまりお勧めできないなと思いました。(冷静に読める方は是非どうぞ!)

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39冊目:破船 吉村昭さん

こんばんは、読子です。

毎日暑いですね。あっという間に七月ですもんね。

こいつ室内で快適に暮らしてるだろう癖に何言ってるんだろう…?って思った方、ご安心(?)ください。古めの病院なので空調のポテンシャルは無事終了。古めかしい吹き出し口から吐き出される風はそよ風程度です。…蒸しあげられております。(にっこり)

私も皆様と一緒で汗かきながらあちーあちーしてますよ、室内だけど。

 

 

さて今回は重みが…重みがありすぎる本でした。

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吉村昭さん「破船」

 

こちらはかなり前におすすめしていただいて、積読本として確保しておいた本です。おすすめをしていただいたことは間違いないのですが、実は一体どなたにすすめていただいたのか全く記憶が無く、申し訳ない…と頭を抱えている次第です。本当にすみませんせっかくおすすめしていただいたのに…

 

 

あらすじ

その船は、村民の望む「希望や恵み」だけを運ぶものではありませんでした。

主人公・伊作の暮らす漁村は、とても貧しい村です。家族を守るため男女問わず身を売って奉公に出たり、朝から晩まで働き詰めでその日その日の食事を海で確保してきたりと、大人から女子供まで村の皆が働き手として日々の生活の一端を担っていました。

そんな苦しい生活に、海は気まぐれに恵みを与えます。それが「お船」。

お船様とは破船のこと。難破して村の岩礁に乗り上げた船は、お米をはじめ多くの荷物を積んでおり村を豊かにしました。

皆がありがたがり、次はいつかと到来を待ち望む「お船様」でしたが、ある日到来したお船様には村民にとって望ましくない物を積載しており…

 

 

 

感想

怖い。表紙がかなり怖いです。

背面のあらすじを読まないマンの読子は、読む前はホラー寄りのジャンルなのかとさえ思っていました。

もちろん読了後は「なんか怖い表紙」から「悲嘆溢れる表紙」へとイメージが変わりましたが。それでも子供の頃に見たりしたら、恐らく普通にトラウマになると思います。夜に一人でせっちん行けない。

 

 

こちらの本は、冒頭に記した通り普段自分では絶対に手に取らないであろう作家さんなので「どなたかにおすすめいただいて」入手しました。

ただその方が、普段よくおすすめ本を紹介してくださるニードルさんだったのか、かなり初期に単発でコメントをくださった別の方だったのか、あるいはTwitterで見かけた情報からだったのか、積読してからの期間が長すぎて皆目見当がつきません。

 

…お心当たりのある方!!!(雑な呼びかけですみません)

私も読みましたよ…!!自分では選ばないジャンルでとても新鮮でした!!!!

正直「文体かためだな…」と読み始めはチキりましたが、読み始めると案外読みやすくて驚きました。

 

 

さて本編について。

貧しい漁村では皆が生きるのに必死。作中では“時化のタイミングで浜辺で火を焚き、船を呼び込み座礁させる事を狙う”など、お船様を招き入れるために賢しい努力をする描写があります。こうもどん底まで貧しいと「人命を奪うような謀りごとはダメ」とか、そういう倫理的な事を考える次元じゃないんですよね。

破船にはもちろん遺体もありますし、生き残りが居たとしても後のトラブルを回避するために命を奪います。一般的にはこんな状況を万歳して喜ぶなんておかしいですよね。ましてや命を奪うことなんて許容されるべきでない行動です。しかし村を維持するためには(村人を食い繋がせるためには)仕方のない事なのだろうと、読者も色々と飲み込みながら読み進めなければなりません。

 

そして表紙の絵柄から察せられる通り、辛いです。ずっと辛い。綴られる文面はどちらかと言うと淡々としているので、こう…「訴えかけるような…!」みたいな感じこそ無いのですが、どこまで行ってもなんだか薄暗いなあ…と。もちろん日々の小さな幸せ的描写もあるのですが、昔のリアルな漁村を描いているだけあって幸せのレベルが本当に“ささやか”

「なんか紆余曲折あったけどハッピーエンド!」みたいなのは本当に期待できません。救いのないリアルが見たい人向けです。

 

 

最後に登場人物についても言及させていただきたいのですが、伊作のお母さんがかなり強い(特にフィジカル)のが印象的でした。昔の漁村の女は強いのが当たり前だったかもしれませんが、起床の促しなどで気軽に子どもに張り手を喰らわしたりするもんで、どうしても筋骨隆々の筋張ったマッチョなお母さんを想像してしまいました。最後にデリケートな部分見せられて「こんな屈強な女でも…」ってなったよ…

膝上で括った着物からムキムキの脚が伸びて、腕は炭治郎みたいな屈強なのがニョッキリ生えてるの想像しててごめんな。お粥炊いてる横顔はジョジョに出てくるキャラクターみたいなごつごつした険しい顔でイメージしてた。実際はもっとしなやかなのかもしれないのにな。

 

 

 

フゥウウウ…(激深ため息)ちょっと心が疲れたので、

次回も心が疲れそうな本読みま〜す!!!(?!!!!)

 

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38冊目:5分で読める!怖いはなし 『このミステリーがすごい!』編集部 編

こんばんは、読子です。

とうとう病院の貸し出し本の本棚で出会ってしまいました。気になっていたあの本…

 

 

最近巷でよく見かける「5分で読める!」的なサクッと系短編集です。

コレ系は「一駅で読める!(うろ覚えで不確かな記憶)」だとか「5分後に大どんでん返し!(こっちも薄らぼんやりした記憶)」みたいなシリーズも出ていましたよね、確か。今のブームはガツッと集中型ではなく、スキマ時間の短時間読書なのでしょうか…?

 

 

さてその中で、今回出会ったのはこちら

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「5分で読める!怖いはなし」このスミテリーがすごい!編集部 編のホラーアンソロジーです。

 

存在としては認知しており、ずっと気になってはいたのですが「あまり知らない作家さんばかりだとな〜」と今ひとつ手が伸びずズルズル今日まで来てしまいました。

 

が。今回は別です。なんたってここ

よく見てください…

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\ててーーーーーん!!!/

読むことが決まってしまいました。(チョロい)

 

 

ちなみにお隣の柚月裕子さんも、実はずっと気になっていました。柚木麻子さんの本を探しに行くと必ずお隣にいらっしゃる柚月裕子さんの本。密かに柚月さんの作品も手に取るチャンスを伺っていたんですよね…

このチャンス、逃してたまるか。読まないわけにはいきませんよ。せっかくなのでいろいろつまみ食いさせていただきます…!

 

 

構成

超ショートゆえに「あらすじ」を説明しようとすると、図らずも「ぜんぼう!」になってしまうので、ここでは本の構成をお伝えします。

総勢十名の作家さんが一人あたり二〜三話を担当し、最短で三ページ・最長でも十四ページのサクッと読める短編集を成しています。

作家さんは順不同。あの作家さん面白かったな…もう一話くらい読みたかったな〜、なんて思っていた頃にひょっこり二話目が現れたりします。サプラァイズ

 

 

参加作家さん

 

 

感想

真梨さんがいらっしゃるので何となくあたりはついていましたが、やはりシンプルなホラーだけではありませんでした…!

いわゆる「怪異」についてのわかりやすい怪談から、人間の怖さや醜さにフォーカスしたイヤミス的なお話勘違いや思い違いによる肝の冷えなどなど、幅の広い怖い話に出会えます。さすが「このミス編集部」が編集しているだけあって、ミステリ要素はしっかりありました。

ショート・ショートではありますが、同じ作家さんが各話完結の続き物ものとして同じ題材で書いているストーリーもあります。

 

ちなみに私が気にしていた柚月裕子さんは、ミステリに振っていてかなり好きな感じでした。もちろん嫌な気持ちになりました…

今度柚月さん作品を一冊買ってみようかと思います。(柚月さん履修済みの方でおすすめの本がございましたら、ぜひコメント欄から教えてくださいね…!!)

 

それから、印象的だったのは井上雅彦さん。(何しろお名前を存じ上げませんでしたので、)全くのノーマーク。作風はわかりやすく「妖怪!怪異!!!!」って感じで夏にはぴったりの不気味さでした。愉快な妖怪さんではなく、普通に怖いやつです。悪いことするお化け。

ただ、句読点が多くて文体が合わなかったなあという印象もあります…(文章の相性大事…)

 

最後に、一番お気に入りになったお話は平山夢明さんの「すき焼き」。本書のトリを飾るお話でしたが、

最高に後味が悪くて最高でした!(?)

 

 

全体的に「人間怖い」と「怪異怖い」がバランスよく配合されているアンソロジーでした!

暑くなるこれからの時期にはもってこいの一冊だと思いますので、ご興味のある方はぜひ…!!

 

 

読子は短時間で短編をサクサク消化する読書より、どちらかと言えばがっつりとストーリーにのめり込むタイプの読書が好きなので極端な短さの短編集は避けがちでしたが、たまにはショートショートも悪くないなと思いました…!

 

次は積読からおすすめいただいた本を読もうと思います。

 

37冊目:ホワイトラビット 伊坂幸太郎さん

こんばんは、読子です。

ついに入院して1か月半が過ぎました。こんなに外の世界から隔離されることは無いので、正直元の世界に戻るのもめちゃめちゃ怖いです。(内と外とのギャップ)

まあ、退院まだ先なんですけれどね。

 

 

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さて今回の本は

伊坂幸太郎さん「ホワイトラビット」です。

 

 

登場人物

【泥棒組】

  • 黒澤:泥棒以外にも探偵業を兼任。割と何でも屋。犯行時には被害者が何が盗まれたのか不安にならないように「これを盗みました」的なお手紙を残す。
  • 中村レ・ミゼラブルを5年かけて読む。「黒澤さん、『ようするに』って言わないでください」
  • 今村:まだ泥棒としてはお勉強中の身。黒澤の金庫破りの手技見学中に起きる「鼻息がうるさい(黒澤)」「金庫って鼻息するんですか(今村)」という掛け合い。たぶん天然。

【反社組織組】

  • 稲葉:反社組織のトップ。人間として大事な感性が欠けている。折尾が見つかるまで、人質として確保している綿子ちゃんに暴行をはたらく。
  • 折尾:通称オリオオリオ。オリオン座についてやけに詳しい男。反社組織でコンサルタント()をしている。
  • 兎田:立てこもり事件の主犯…?妻の綿子ちゃんが誘拐されている。

【その他】

  • 綿子ちゃん:兎田の奥さん。新婚さんの可愛い妻。稲葉に誘拐・暴行されるというとばっちり。
  • 夏之目:悲しい過去を持つ男。警察。

 

 

あらすじ

因幡の白兎」ならぬ「稲葉と白兎(兎田)」

事件と事件が絡み合うミステリー。反社組織による誘拐事件と、立てこもり事件が同時進行で起こります。

反社組織でお金の持ち逃げ事件が起き、トップの稲葉は部下である兎田の妻を誘拐し人質にします。妻の命と引き換えに、持ち逃げ事件に関与しているであろう折尾を探す兎田。一方その頃、泥棒組の中村・今村・黒澤はある家に泥棒に入ることを画策していたのですが…

 

 

感想

伊坂さんの作品は物語終盤の勢いのいい伏線回収が最大の楽しみなので、可能な限り本編の大事な部分には言及しないような感想を残そうと思います。

本作は「レ・ミゼラブル」の進行に則り、突然作者が現れてストーリーの進行に口を挟みます。もちろん伊坂さんらしい軽快なテイストで。

レ・ミゼラブル」に関しては、作中を通して何度も登場しており本作を支える鍵となる作品のように扱われています。

 

さて森見登美彦作品の舞台がいつも京都府京大近辺であるように、伊坂幸太郎作品の舞台はいつだって宮城県仙台市。もちろん今回も例に漏れず舞台は仙台です。

仙台の地図に描かれるオリオン座。オリオンの星は一体何を示しているのでしょうか…?

 

 

始めは登場人物の多さに戸惑い、ついて行けるか不安でしたがそれも杞憂に終わりました。伊坂ワールド、安定の変なヤツの多さ。ちゃんとキャラクターを覚えられます。

その中でも私はおとぼけな今村・中村が好きで、特に中村がレ・ミゼラブルジャン・ヴァルジャンを「ジャンさん」って呼ぶのが可愛らしくて好きでした。そもそも5年もかけて一所懸命レ・ミゼラブルを読むってエピソードがもう可愛いんですけどね。5年もかけたら初期の方のお話忘れんか…?

今村も、黒澤から泥棒の技術指導(実地)を受けて「アンコール!」と元気に要求してみたり(泥棒向いてないぞ)、すっとぼけた言動が目立ちます。

 

 

それから、凄く納得してしまったのは誘拐の対象についてのくだり。作中にて

誘拐する対象は、子供ではなく成人がほとんどだ。子供は天使だから、という理由ではない。大人は大人しくさせやすいからだ。利害を説き、説得することができる。論理的に説明をし、狭い部屋に閉じ込めておくにも管理がしやすい。

と言及されます。確かに誘拐といえば子供のイメージがありましたが、言われてみれば…

 

ジブリ映画「紅の豚」のマンマユート団の皆さんが、スイミングスクールの子供たちを人質として攫う場面がありましたね。

あれはもう完全に保育所状態

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↑この賑やかな状態を思い出すと「それもそうか」と思ってしまいますね。この辺りを考慮すると、「大人の方が人質として管理しやすい」は正論だなあと思います。

 

 

他にも

(星の寿命や宇宙の話の流れで)

「轟々とすごい速さで流れていく時間の中で、そのほんの一瞬の間でわたしたちは生きて、一喜一憂したり、遊んだり、勉強したり、働いたり、恋愛したりするんでしょ。凝縮されているというか、充実しているというか。」

というセリフ、こういう人生のエッセンスみたいなセリフが軽い感じで突然現れるのが伊坂ワールドの醍醐味なんですよね。

自分の人生でこんなにも達観したようなことを口にする人間ってそうそう現れないので、さも普通の事のように大事なことを肩肘張ったムード無しに教えてくれる伊坂作品の登場人物には、いつだって心を揺さぶられます。

 

伊坂作品は久しぶりに手をつけましたが、作風が変わっていなくて安心しました。

まだ過去作の未読作品もあるので、またいつか手を出したいと思います。

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36冊目:和菓子のアン 坂木司さん

こんばんは、読子です。

 

ここ数日、私の入院しているあたりの地域は梅雨の晴れ間が続いて気持ちが良いです。

そんな日に読むのは甘くて優しいミステリー。前回の「レインツリーの国」に続き低刺激な本にいたしました。今回は和菓子屋さんのお話です。

 

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坂木司さん「和菓子のアン」

 

 

目次

  • 和菓子のアン
  • 一年に一度のデート
  • 萩と牡丹
  • 甘露家
  • 辻占の行方

セクションごとに分かれていますが、内容バラバラの短編集ではなく、同じ登場人物たちが各章で異なるテーマの謎解きをします。一冊を通して和菓子屋さんミステリー「和菓子のアン」です。

 

 

あらすじ

和菓子のアン

高校卒後進路無し、愛嬌が売りのふっくら系女子・梅本杏子(通称アンちゃん)が「みつ屋」に馴染むまでのお話です。デパートの地下にある和菓子専門店のみつ屋には個性的なスタッフがいっぱい。果たして彼女は、このクセ強スタッフの中に馴染んでいくことができるのでしょうか…?!アンちゃんの和菓子屋ライフ、賑やかな幕開けです。

 

一年に一度のデート

七夕を巡るお話。季節の上生菓子のお話が中心になります。大切なお席や大切な人に差し出されるお菓子には、時に強い願いが込められます。和菓子の良さは美しい見た目だけではありません。それ一つで“誰かの願い”や“大切にしている思い”を秘める存在にもなり得るのだ、という和菓子の新たな魅力を教えてくれるお話です。

 

萩と牡丹

あんころもちのお話し。どう見てもカタギではない怖いおっちゃんのお客さんが登場します。他のスタッフの目を盗み、アンちゃんに絡んできては「腹切りだな…」「半殺しだ」と怖いセリフを吐いていきます。この怖いおじさんは誰…?!私はヤクザに命を狙われているの?!!

 

甘露屋

🍡「そんなにたくさん(売れ残りの)ケーキを買って帰るんですか?」

🍰「これは、兄です…」

🍡(お兄さんにお使いを頼まれたのかな…?)

近隣の販売スペース、洋菓子屋「金の林檎」の派遣スタッフさんの奇妙な行動から始まるミステリー。洋菓子屋の可愛らしいフリフリエプロンに似つかわしくない、その浮かない顔にアンちゃんは心配をします。

ケーキ屋さんの彼女はどうして悲しげなのか、沢山のケーキを持ち帰らせる“兄”とは一体なにものなのか…ヒントは隠語の中に隠されていました。

 

辻占の行方

「これ、全て白紙の紙が入ってて…」

「この絵柄の意味は一体なんでしょうか…?」

AKBの指原莉乃さんがセンターを務めておられた可愛らしいお歌でも有名な“フォーチュンクッキー”。実はフォーチュンクッキーの起源は、元々日本でおみくじ入りのお菓子として存在していた“辻占”なのです。年始にイベント商品としてみつ屋に置かれる“辻占”。誰もが気になる新年の運勢ですが、どうやら何かがおかしい。中のおみくじが全て白紙だった、変な絵柄が入っていて内容がわからないなどの問い合わせが続き…

 

 

感想

和菓子の知識を吸収しながら、アンちゃんの成長を見届けられる優しいミステリーです。

 

ミステリーですが流血沙汰は起きません。悲しくて辛いのは嫌!というソフトなお話がお好きな方におすすめ。

 

坂木司さん作品は「シンデレラティース」と本作の二作を読んだのですが、どちらも高校生と大人の狭間に居る年頃の女の子が等身大の自分で頑張る物語で、とても可愛らしいのです。

自分の体型にコンプレックスを持ちながらも飾らない生き方をするアンちゃんとても素敵で、後輩にこんな子が居たら確かにみつ屋メンバーみたいに可愛がっちゃうだろうなあ、と思いました。

そして、愛らしいのはアンちゃんだけではありません。みつ屋周辺のメンバーも凄く個性的で、なんだか愛おしくなってしまうような人ばかりなのです。

 

  • バックヤードから時々叫び声、ギャンブラーな椿店長
  • 誰よりも繊細で誰よりも乙女チック、職人志望のイケメン立花さん
  • 元ヤン上がりの美少女、桜井さん
  • 化粧品専門店の魔女、五月さん
  • どう見てもヤクザ、立花さんの師匠で服のセンスが振り切ってる松本師匠

 

いや濃すぎかて。

濃すぎるメンツながらも穏やかに過ぎる日常に、読者もつい笑顔が溢れてしまうのです、不思議と。なんて愛おしい面々…

私はクネクネするイケメン、乙女チックな立花さんが大好きよ。

 

 

 

ちなみに本作、今回が初回読了ではありませんで、初めて読んだ時は入院中ではなく外の世界でフリーでした。

読了後は二週間くらい毎日豆大福を食べ続けました。

 

太りました。深刻な影響

 

 

他人事ではありませんからね。読むと想像の数倍和菓子が食べたくなるんです。本当に。

普段洋菓子派で(生クリームとホイップクリームは違う!全然違う!!!のクリーム過激派)、「好きなお菓子買っていいよ」と言われればシュークリームやケーキ一択でしたが、これを読むと

「どら焼きどら焼きどら焼き…羊羹すあま練り切り…あああ豆大福が食べたい…ざらめのついたカステラ、お団子…」と両手の震えが、震えが…(バキバキの目)

やっべぇ入院中でよかった…と正直今の環境に安堵しております。外だと間違いなく和菓子を食べ散らかしておりました。

 

それくらい和菓子の魅力たっぷりな一冊ですので、「洋菓子に比べたら和菓子は冴えんなあ。まずパッと来ないビジュがなあ…」なんて思っている方には是非ご一読いただきたいです。

 

和菓子って本当に奥が深くて、同じお菓子でも季節によって名前を変えたりするんです。

味だって実は洋菓子と同じくらいバラエティに富んでいるんですよ。「どうせ餡子」は間違いです。柚子や柿、イチゴなど、季節のフルーツを織り込むことで風味が変わって全然違った魅力を見せます。

お団子一つとっても、そこに粒あん(こし餡)が乗っているか、みたらしか、3色か、ずんだ餡か…とかなり幅が出ますものね。これだけの幅の中から好きなのを選んでいいんですよ…!すごい!!

 

 

食べ物の話でちょっと熱が入りすぎました…!おしゃべりしすぎたので今日はこの辺にしておきますね。退院する頃には和菓子熱が少し下火になってますように。(食べすぎるから)(妊娠で既にガタイ良くなってるのに?)(まだ成長するの?????)

みなさんも食べすぎ注意ですよ〜!!!笑

 

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35冊目:レインツリーの国 有川浩さん

こんばんは、読子です。

 

前回はどろどろしたから今回は優しい気持ちになったり、きゅんとしたい…

そんな時にTwitterで本作の読了ツイートを拝見し、そうだこれこれ!と思い出しました。

 

それが

f:id:hondayomuko:20230612073852j:image

こちら!

大人のラノベ作家と称される有川浩さんレインツリーの国

 

本書には高校生の頃に課題読書という形で出会いました。なんと十数年ぶりの再読です。

 

当時はブックカバーをつけて読む習慣がなかったので、学生鞄の水筒から漏れ出した麦茶のシミやら、なんかよくわからん汚れが付いてしまってごめんね…の気持ちです。でも大好きな本なんだ。青春の汚れってことにしておいてくだちい…

 

 

目次

1.直接会うのが駄目やったら、せめて電話だけでもどうかな。

2.「……重量オーバーだったんですね」

3.傷つけた埋め合わせに自信持たせてやろうなんて本当に親切で優しくてありがとう。

4.「ごめんな、君が泣いてくれてきもちええわ」

5.歓喜の国

 

 

あらすじ

学生の頃に熱中したライトノベルのラストを巡る感想から、二人の男女の縁が繋がるお話です。

主人公・伸行が、気まぐれにも“学生時代に好きだったライトノベル”について検索していたところ、ひとみの運営するブログ「レインツリーの国」がヒット。二人は本に関する感想を通して幾度もメールを交わし、仲を深めて行きます。

好きな本について語る仲間は、気づけばメールの返信を心待ちにするような“気になる人”に。そしてついに2人はネットの世界を飛び出して、直接顔を合わせることになるのですが…

 

 

感想

ちょっと特殊で運命的な出会い方をした二人が、お互い違う環境で培った価値観や思いと向き合い、擦り合わせていく恋愛物語です。

スパイスの効いた甘口。

 

二人のやり取りはメールやチャット形式が多いので、口語的な文章が多く読み口はとても軽いです。読む速度isサクサク。「大人のラノベ作家」と呼ばれるだけある有川作品ならではの軽さだと思います。「忙しい日々でも本を読みたいのだけれど、あんまり小難しいのは…」みたいな方には推せる作品です。

 

ただ、一応主人公たちは社会人なのですがかなり強めな青春の光に当てられるので

✨💡✨ペカー

🤦‍♀️「目が…!!!」

となるので気をつけて。大人の恋愛というよりも、青春み強目のウッってなるやつです。

青春耐性に乏しい方はご注意を⚠︎笑

 

 

 

細かい部分では

それにしてはまっすぐ見てくるなぁ

「なんでもいいですけど洋画で…」

なんて辺りのフレーズから、なんだ…ヒントはそこらじゅうにあったのか、って思いました(二周目的感想)。めっちゃ伏線張ってあるじゃん。

 

セクションタイトルにもなっている

「……重量オーバーだったんですね」

というひとみの悲しいセリフは、学生時代に読んだ本ながら十年以上経った今でも覚えていました。盛ってません、まじで。このシーンは当時高校生だった読子少女には衝撃的過ぎて、本当に忘れられない台詞・場面でした。

 

いろんな事情こそあるものの、ひとみちゃんはシンプルに気難しいレディなので、伸行くんの粘り強い関わりと奮闘っぷりには「惚れた方が負けってこういう事か〜!!笑」って思いました。

私はひとみちゃんほど難しい人生を送っている訳ではありませんが、なんというかこのネチっと卑屈な思考パターンは似ていたりするので「気持ちわからなくねーなあ…」なんて一緒に青春させていただきました。(隙自語やめろ)

 

このちょっと卑屈なひとみちゃんと、どちらかといえば理屈で考える伸行と、「私は可愛くあることに心血を注いでいます!恋愛に命かけてるんで!」とはっきり主張するタイプの(伸行に好意を寄せる)ミサコのキャラクターのコントランスが絶妙バランスでよかったです。あっ、こういう三角関係か〜って。

 

そして伸行の叔母さんも、いかにもな関西のオカン系でかなりいいキャラしています。有川さんの作品はサブキャラまで無駄がない。

サブなのに結構パンチ強めで出てくるので、ちょろっとしか出てこないその叔母さんに読子はハート掻っ攫われていって「親戚とか近所にこういうおばちゃんいて欲しい〜〜〜」みたいな、物語中の最推しがよくわからない所で爆誕してしまうという現象が起きてしまって

………この感じ伝わってますか?

 

紆余曲折あったけれど最終的にはきっちりイチャついてくれてるので、キュンもしっかり摂取できます。嗚呼満足…

前述した通り大人の恋愛にしては透明度が高く爽やかなもんで、何故か学生恋愛ものを見たような不思議な気持ちになります。とにかく主人公の伸行が爽やかイケメンなんだこれが…しかも関西弁喋るっていうオマケ付きね。

 

 

最後に本筋とは少し関係ないのですが、同・有川浩さん作品の図書館戦争シリーズ「図書館内乱」のハードカバーの表紙には、本作「レインツリーの国」の表紙デザインが使われているそうです。どうやら本作が本編に絡んで来るもよう…

図書館戦争シリーズも学生時代途中まで読みましたが、内容のその殆どが忘却の彼方なので、いずれまたどこかで読めたらいいなと思っています。

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次は…次もたぶん再読図書!