読子の本棚

読んだ本をここの本棚にしまっておきます。

45冊目:舟を編む 三浦しをんさん

こんばんは、読子です。

無事赤ちゃんが生まれてから一ヶ月ほどが経過しました。毎日眠れなくて毎日大混乱ですが、それでも本から離れる事はできませんでした。

 

 

 

…ので!

 

今回はこちら

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舟を編む三浦しをんさん

本屋大賞受賞作品且つ、映画化されている作品です。

 

 

入院のラストスパートで、誘発分娩の際の痛みを紛らわせるためにチビチビ読んでいました。

 

読んでは痛がって、痛がっては読んで。お産が進まず唐突にスクワットを始めて、そしてまた読んで…

冷静に考えて、なんとも騒がしい患者でした。陣痛室で賑やかに過ごし過ぎ。

お産が進まずしんどい五日間でしたが、助産師さんたちの優しさに励まされつつ、読書で気を紛らわすことでどうにか出産まで漕ぎ着けました。

 

こんな状況だったので当然一冊を読み終える訳もなく、お家に帰ってお子の寝ている隙に少しずつ続きを読みました。産後一発目の読書は二時間置きでの授乳をしながらだったので、ところどころ眠気で活字の上を目が滑るような感覚で読むことに。

おおよその内容は読めたと思いますが、せっかく心に響く良いお話だったのにこれでは勿体無いので、いつかクリアな頭で再読をしたいと思っています。

 

 

あらすじ

出版社の営業部員である馬締光也(まじめみつや)は、言葉に関するセンスを買われて辞書編集部にスカウトをされます。移動した辞書編集部では「大渡海(だいとかい)」と題する辞書を新たに製作しよう!というプロジェクトが動いており、移動してきた馬締も編集者の一員としてそのセンスを存分に発揮することに。

大渡海製作に携わる人々の熱い思いが、馬締をはじめとする辞書編集部メンバーの視点で語られます。

 

 

映画情報

2013年公開

 

馬締役に松田龍平さんは、なんともピタッとくる配役です。ただ、メインどころの他二名が残念ながら私とはちょっと解釈違いムードでした。不器用で職人気質な香具矢さんは、目元のシュッとした北川景子さんとか栗山千明さんなイメージだった…

若干の解釈違いもあり私は焦って映像作品を見ることはなさそうですが、Filmarksでも3.8と高スコアで映画もかなり良作のようですので、お好きな役者さんが出ているという方は是非に!ちなみに映画化だけじゃなくてアニメ化もされていたようですよ!

 

 

感想

めっちゃよかった…!!!

 

もともと映画の存在(タイトルだけ)を先に知っていたので、勝手に是枝監督の作品かと思ってました。海街diary」とか「万引き家族」みたいなしっとり系。

実際は映画の監督も違うし、原作は三浦しをんさんだったのですね…!!!

私が直近で読んだ三浦しをんさんの作品は「光」でして、タイトルの割に余りにも辛い作品だったので作家さんにトラウマさえ芽生えていたのですが、こちらはまほろ駅前多田便利軒」的なタイプの作品でコミカルさのある軽快な読み口でした。

小ネタ的な部分ですが、私は三浦しをんさんの“偽物ラーメン”(本作では「ヌッポロ一番 醤油味」として登場)に対する解像度の高さがとても好きです

 

ちなみにタイトルの舟を編むは、なぜ辞書の話なのに“”なのか…ということが割と序盤で判明します。(読子港町で造船業をする若者の話だと勝手に思い込んでいたので、「辞書ってなに…?!!」と読み始め早々から混乱していました。)

「辞書は、言葉の海を渡る舟だ」

なっ…なるほど〜!!!🫨

造船業の話じゃないのね…!!!←

なんとも素敵な表現。だから本作の辞書製作陣が企画してる辞書のタイトルも「大渡海」なんですねえ。

 

“辞書製作”がテーマとは何だか堅苦しそうなイメージでしたが、実際に読んでみるとコミカルで温かさの際立った作品でした。

冗談のひとつも言えないような愚直で真面目な馬締くんもいいキャラでしたし、ちゃらんぽらんな同僚の西岡さんとのコントラストも最高でした。

 

最初は軽薄さばかりが際立ってしまう西岡さんでしたが、いざ西岡さんのターンが始まると、軽薄っぽい振る舞いは彼なりの処世術なのかなと感じる部分もあったり、彼のうちに秘めた想いが見えてきてどんどん彼を好きになってしまいます。

どう考えても真面目な馬締とそりが合わなそうだったのに、ちゃんと良好な関係を築いていてとても安心してしまいました。

馬締・西岡だけでなく、辞書作りに心血を注ぐ他のメンバーたちの熱い想いも見ものです。

 

優しさと情熱と愛情の詰まった作品でした!

 

 

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次の本はもう読み始めています。

次回は「ルビンの壺が割れた」です!