こんにちは、読子です。
本州は今日もとてもいい天気です☀️が…北海道に旅に出ている友人からは連日「今日も雨」「今日も雨」と連絡が届いております。『北海道に雨季は無い』などと言ったのは一体どこのどいつでしょうか?毎日雨で私の友人がちょっと不憫ですよ。流石にどうにかしてやってください?笑
せっかくの観光なのに視界は白もやと雨雲だらけ。写真(映像)映えもいまひとつのようです。北の大地のいい景色を見せてやってくれェ…明日は晴れるといいね、友人。
さてここからは私のお話。
分厚めの本、いきました。
ここ数年続く父と妹の島田荘司ブームに乗っかります。妹におすすめを選んでもらって、病院に届けてもらったのがこれ。
普段はあまり分厚いずっしり系に手をつけないので(集中力短め女)、読む前は京極夏彦さんの作品のような鈍器系ビジュにビビり散らかしました。果たしてこれ、読み切れるんか…?
目次
- プロローグ・スコットランド
- 一九八四年、馬車道
- 昭和十六年、くらやみ坂
- 屋根の上の死者
- 昭和二十年、くらやみ坂
- 飛び去ったにわとり
- 昭和三十三年、くらやみ坂
- 人を喰う楠
- 暗号
- 木に喰べられていた者たち
- 書斎
- 舞い戻ったにわとり
- ジェイムズ・ペイン
- 壁の中のクララ
- 英国紀行
- 巨人の家
- 木に喰べられる男
- 火事
- 御手洗の行動
- 怪奇美術館
- 巨人の犯罪
- 一九八六年、暗闇坂
- エピローグ・手記
(…多い!!!)
あらすじ
どうやらシリーズものらしいです、御手洗潔シリーズ。こちらはNOT一作目。
ちょっと(いやかなり)変わり者の名探偵・御手洗潔が怪事件の解決に挑むお話です。
本作は大きな楠の麓で起きた事件にまつわるストーリー。横浜市のくらやみ坂に不気味な影を落とす、樹齢二千年以上にもなる大楠。そんな大木が聳え立つ洋館の庭で不思議な事件が起きました。
【ひどく荒れた台風の晩の翌朝、家主の息子が屋根の上に跨って死んでいる姿が発見された。死因はどうやら心不全らしい…。しかも同日に家主の妻が、楠の根本で強く頭を打って倒れていたようだ。】
どう考えても異常すぎるこの事態。《人を喰う》と言われている大楠は事件にどう関係しているのか、楠は本当に人を喰べて血肉を栄養としていたのでしょうか…?
感想
かなり細切れのセクション(プロローグ・エピローグ含めなんと23!)で、「今日はここまで読もう」「とりあえずここまで」という読み方をしやすかったです。
刊行自体は1994年とそれほど古くないにも拘らず、初めの印象はやや硬めで何だか文豪チックな文体。
「私、賢くないです!」と豪語するようでお恥ずかしいのですが、実は森鴎外や夏目漱石(の一部作品)・川端康成・遠藤周作あたりの近代文学の文体には苦手意識がありまして、正直読み切れるのかな…?と心配しながら読み始めたのですが、これがノッて来ると意外にサクサクで。当初は10日ばかりはかかるだろうと思っていた本作も、6日で読み切りました。
というのもですね、探偵・御手洗の独特のテンポ感に乗れるとリズム良く読めるんですよ。ミステリーとしての進行もダレる事なく興味を維持したまま(寧ろ加速するまである)読みきれますし。
初めのうちは、本筋と全くかけ離れた内容のセクションがちょこちょこ挟まっているな…と感じていましたが、実は関係大アリで進行と共にザクザク謎だったストーリーが回収されていく様が非常に気持ち良かったです。
キャラクターの個性と登場人物のバランスの良さ、ミステリーとしての伏線の潜ませ方と回収の良さ、結末(オチ)の良さ、全て文句なしです。
…が、やっぱりこの厚みは心の余裕がある時にしか読めそうもありませんねえ笑
どうしても存在感抜群の分厚いビジュアルに一歩引いてしまいます。
私のお気に入り作家さんである伊坂幸太郎さん…のお好きな作家さんということで手を出して見たのですが、子育てがスタートする前に手に取る事ができてよかったです。(子育て始まってたら絶対見た目の厚さで諦めてたよ…)
ちょっと早産にはなるけれど赤ちゃんのためには早めに分娩した方が良さそうだね的なムードなので、ゆっくり本を読める時間もあとわずかのようです。入院中最後の一冊になるであろう本、何にしようかなあ。