読子の本棚

読んだ本をここの本棚にしまっておきます。

1冊目:ひとにぎりの未来 星新一さん②

こんにちは、読子です。

さてこちらは「ひとにぎりの未来」感想編です。

 

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星新一さんなので、もちろんショートショート

どんどん機械化が進み便利になったと感じる昨今ですが、その現代の科学技術を持ってしても遠く及ばないような、もっともーーーーーーっと

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ずっと先進的な技術が普及した世界が舞台となるお話です。5ページ〜10ページ程度で40話収録されています。

 

SFがどう言うものかわからないという人に読ませても「なるほどこれがSFか…」という言葉を溢してしまうようなストーリーたちです。(時々泥棒のお話だったり、我が子が警察に捕まっていたりとSFから離れたりもします。)

 

こんなにも沢山のお話を思いつく星さんの頭の中ってどうなってるんでしょうね?本当にすごい。

しかも1話1話いい感じに皮肉が効いているんですよ。少しネタバレになってしまいますが、

(お嫌であれば読み飛ばしてくださいね)

 

 

 

【→ここからネタバレ】

四十話ある中の「進捗」という一話です。

ロボットが自分の代わりに出社して仕事をする世の中が舞台。途中までは読者に「いいじゃん!成る程ロボットに働いてもらえば楽じゃんね!」と思わせるような世界なのですが、家では妻に「〇〇さんの旦那さんのロボットはもう昇進したそうよ。」嫌味を言われ、ロボットからは仕事の進捗を聞いた上でより高度な仕事をこなせるように改造をしたり本を読んでロボットの調整に関して勉強をしなければならなかったり…

終いには娘が「良いロボットを作る夫と結婚する方法」などと言った本を読んでいたりします。

 

(ネタバレ終了)

 

 

 

会社からは解放されているはずなのに、結局家では間接的に昇進をせっつかれ、デスクワークの代わりにロボットのメンテやらを行うことで、本質的には通常のサラリーマンと同じようなしがらみに囚われているというのが何とも苦々しい気持ちにさせられますね。

会社での仕事からは逃げられても、社会人(大人)としてのしがらみからは逃げられないし、何らかの形で仕事はついてくる、というとても皮肉の効いた印象的なお話でした。

 

 

他にも(プチネタバレです)、犯罪を犯した男が精神科医に罪を告白した上で匿ってくれと相談。了承を得て匿ってもらうのですが、案内されたかくれ家は実は刑務所で、服役している間はずっと匿われていると思い込んで過ごしていた…という「かくれ家」も私的にはツボでした。

 

 

イヤミスほどドロドロはしていませんが、適度にモヤッと嫌な気持ちになれてよかったです。

 

 

これだけショートのお話が詰まっていれば、きっと皆様もお気に入りの一話が見つかるはずです。

初めて読んだ星新一さんの作品はすごくよかったです…!!また別の作品にも手を出してみたいですね☺️